1993 Fiscal Year Annual Research Report
魚類における成長ホルモンの合成・分泌および作用機序
Project/Area Number |
02405003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平野 哲也 東京大学, 海洋研究所, 教授 (70013571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 豊二 東京大学, 海洋研究所, 助手 (70221190)
会田 勝美 東京大学, 農学部, 教授 (50012034)
川内 浩司 北里大学, 水産学部, 教授 (70050523)
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Keywords | 魚類 / 成長ホルモン / プロラクチン / ソマトラクチン / 作用機序 / 回遊 / 性成熟 / 浸透圧調節 |
Research Abstract |
本研究の目的は、魚類における成長ホルモンおよび関連ペプチドであるプロラクチンおよびソマトラクチンの合成、分泌および作用機序を、生活史の各段階ならびに環境の塩濃度の変化等との関連において、分子および遺伝子レベルで明らかにすることにある。本年度は最終年度に当たるので、以下の研究を行いつつ、全体の取りまとめを行った。 1.ニジマス、ティラピアおよびヒラメを用い、環境の塩濃度と血中ホルモン濃度の変動、および下垂体の器官培養系を用いた実験等から、プロラクチンが魚類一般において淡水適応に重要であり、成長ホルモンはサケ科魚類およびティラピアにおいて海水適応に関与していることが明確となった。 2.サケ科魚類における成長ホルモンの海水適応作用は、肝臓のみならず鰓において局所的に産生されたIGF-Iが、鰓において塩類細胞を分化させることにより行われる可能性が、IGF-I cDNAを用いたin situ hybridization法により明らかにされた。 3.ソマトラクチンの分泌動態を、種々の環境条件下における血中ホルモン濃度の変化、および下垂体のホルモン産生細胞の活性の変動を免疫細胞化学的に検討した結果、ソマトラクチンの主な生理作用は、脂肪およびカルシウム代謝、および体液の酸・塩基平衡にあるものと思われる。 4.淡水中で発生が進行しているティラピアでは、プロラクチン細胞が海水中のものより早く分化し、プロラクチンの胚および仔魚における浸透圧調節作用を示唆している。一方、海水中の仔魚の卵黄膜には塩類細胞がよく発達しているが、これには副腎皮質ホルモンのコルチソルが関与していることが、卵黄膜の培養系を用い明らかとなった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ayson,F.G.et al.: "Effects of acclimation to hypertonic environment on plasma and pituitary levels of two prolactin and growth hormone" General Comparative Endocrinology. 89. 138-148 (1993)
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[Publications] Sakata,S.et al.: "Flounder growth hormone;Isolation,characterization and effects on growth of juvenile rainbow trout" General Comparative Endocrinology. 89. 396-404 (1993)
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[Publications] Moriyama,S.et al.: "Oral administration of recombinant chum salmon growth hormone to rainbow trout,Oncorhynchus mykiss" Aquaculture. 112. 99-106 (1993)
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[Publications] Sakamoto,T.et al.: "Osmoregulatory actions of growth hormone and its mode of action in salmonids:A review" Fish Physiology and Biochemistry. 11. 155-164 (1993)
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[Publications] Sakamoto,T.et al.: "Expression of insulin-like growth factor I gene in osmoregulatory organs during seawater adaptation of the salmonid fish" Proceedings of the National Academy of Science USA. 90. 1912-1916 (1993)
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[Publications] Yada,T.et al.: "Changes in plasma levels of two prolactins and growth hormone during adaptation todifferent salinities in tilapia" General Comparative Endocrinology. 93(in press). (1994)