1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02451046
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 秀幸 東京大学, 史料編さん所, 教授 (70013266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小宮 木代良 東京大学, 史料編さん所, 助手 (90186809)
鈴木 圭吾 東京大学, 史料編さん所, 講師 (80013267)
宮崎 勝美 東京大学, 史料編さん所, 助教授 (60143533)
藤田 覚 東京大学, 史料編さん所, 助教授 (20092322)
橋本 政宣 東京大学, 史料編さん所, 助教授 (50013280)
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Keywords | 老中奉書 / 伺書 / 付札 / 江戸幕府 / 古文書学 |
Research Abstract |
近世古文書学を体系化し、確立することを意図し、その第一段階として幕府文書をその様式や形状に着目して古文書学的に検討することを目的とした本研究では、まず第一に幕府文書の原文書や良質な写本、および書札礼や書式集の収集が必要である。今年度には、(1)熊本大学寄託永青文庫所蔵の細川家史料、(2)柳川古文書館保管の立花家史料、(3)防府市毛利博物館所蔵の毛利家史料、(4)岡山大学附属図書館所蔵の池田家史料、(5)上田市立博物館所蔵の松平家史料、(6)仙台市立博物館所蔵の伊達家史料、(7)弘前市立図書館所蔵の津軽家史料、(8)国文学研究資料館史料館所蔵の真田家史料・土屋家史料、について現地で古文書学的な調査をおこない、さらに必要な文書については写真撮影をおこなった。主要には、幕府老中から出される老中奉書や、大名側から出され、幕府の回答が付された伺書や願書の検討が中心となった。集中的に調査し、かつ一点ごとに詳細に吟味した結果、現時点でも多様な新知見を得ることができた。現在ではまだ仮説的な見通しであるが、江戸幕府の将軍の意思を伝える文書について報告しておきたい。老中連署奉書が一般的であり重要であるが、初期には、直状と近習出頭人の書状が一般的であり、老中制度の成立とともに老中連署奉書がとってかわって中心となり、中期には老中連署奉書が機能的にも文書様式的にも多様に分化し、内容と儀礼的に重要なもの以外は、老中連署奉書は出されなくなり、切紙や無判、老中一人の奉書が多くなり、さらに、奉書は出されず、大名からの伺書や願書に附箋を貼る付札やと老中書取で回答をおこなうように転換していく、という仮説的ながら見通しを得ることができた。今後は、さらに時期区分を詰めていく予定である。
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Research Products
(1 results)