1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02451067
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 昭夫 東北大学, 文学部, 教授 (30004055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 善雄 宮城教育大学, 助教授 (50106960)
藤田 緑 東北大学, 教養部, 講師 (10219024)
仁平 道明 東北大学, 文学部, 助教授 (00042440)
鈴木 則郎 東北大学, 文学部, 教授 (30086087)
佐藤 伸宏 東北大学, 文学部, 助教授 (70148724)
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Keywords | 文芸 / 美術 / 芸術家 / 表現 / 芸術家の意図 / 創作心理 / 受容 / 評価 |
Research Abstract |
本共同研究がこれまで取り上げた、また現在取り上げている詩人・作家は次の如くである。土井晩翠、ルコント・ド・リ-ル,茨木のり子,北原白秋,リルケ,テオクリトス,メ-リケ,ゲ-テ,キ-ツ,ラスキン,ペ-タ-,ゴ-ゴリ,泉鏡花,芥川龍之介,佐藤春夫,村野四郎,ゴ-チェ,ヴィンケルマン,メリメ,ポ-,ワイルド。これら多岐に亘る対象とそれらの間の対比研究を進めた結果,次のような知見が得られつつある。(1),エクフラ-シスの詩,散文において,それらが取り上げた造形美術が、実在の、そして読者にも周知のものと想定された作品の場合と,虚構の,あるいは具体的に存在するにしても全く無名のものである場合では、詩人・作家の基本的態度に大きな差がある。前者では、文字による表現が奔放な飛翔を示す場合でも常に対象に引き戻され続け、通念への意識が表現を規制するのに対し、後者では、たとえ精密な描写が施されている場合でも、基本的に自由な性格を有し、美術品は理想化され、神秘的性格を賦与され、時には超自然的な力を揮うに到る。(2)これらすべての場合、詩人・作家の造形美術観が基本にある。(3)虚構の美術品を描写する場合、かえってその過剰が具体的な美術品像を読者に提供しない場合がある。そのほとんどの例が明暸に意図的であり、効果は、当の美術品に魔的な雰囲気をまといつかせようとするにある。(4)現在に存在したが、まだ一般的評価の定まらない画家,彫刻家の作品を対象とした場合には,褒貶の如何にかかわらず,詩人・作家の芸術観、芸術家観、文芸観、さらには倫理的態度さえもが、明暸に露呈する現象が見られる。(5)反面,詩人・作家が造形美術から受ける影響はこの場合が最も著しい。 これら興味深い発見を整理し、考察を深め、さらに、日本古典文芸など新しい分野についてこれらを検証していこうとしている。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 佐藤 伸宏: "三富朽葉論" 『東北大学教養部紀要』. 54号. 23-45 (1990)
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[Publications] 鈴木 則郎: "「うしん(有心)」「けいき(景気)」「ふぜい(風情)」" 『国文学』(学燈社)増刊号. (1991)
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[Publications] 仁平 道明: "大津皇子関係歌群の隠喩" 『解釈』. 37ー1. 22-29 (1991)
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[Publications] 畠中 美菜子: "ホフマンスタ-ル「エレクトラ」" 東北大学教養部紀要. 7. (1991)
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[Publications] 佐々木 昭夫: "芥川龍之介の諸作品における造型美術の表現" 東北大学日本文化研究所研究報告. 28. (1991)
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[Publications] 藤田 みどり: "「冒険小説とアフリカ人」平川祐弘,鶴田欣也偏『内なる壁』" TBSブリタニカ, 21 (1990)
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[Publications] 小田 基: "『芸術のエクソダス』" 400 (1991)