1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02451071
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
高畠 通敏 立教大学, 法学部, 教授 (70062586)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新藤 宗幸 立教大学, 法学部, 教授 (30138549)
五十嵐 暁郎 立教大学, 法学部, 教授 (90097220)
北岡 伸一 立教大学, 法学部, 教授 (80120880)
栗原 彬 立教大学, 法学部, 教授 (10062613)
野村 浩一 立教大学, 法学部, 教授 (80062529)
|
Keywords | 現代日本 / 世界システム / 日米関係 / 経済圏 / 政治改革 / 投票行動 / 政治意識 |
Research Abstract |
本研究開始時より東西冷戦を軸とする世界システムの解体は進行していたが、1991年末のソヴィエト連邦の解体・CISへの移行はその動向のいわば頂点を意味する。かかる国際政治の激動が日本の政治構造に与えた影響として第一に冷戦構造を前提とした日米依存関係の終焉が挙げられる。その傾向は両国間の経済摩擦をめぐる長期的対立にも既に現われていたが、湾岸戦争における日本独自の国際貢献が他ならぬアメリカによって強く要求された事象は従来の依存関係の変質を象徴的に示した。第二に経済力が世界システムの基底要因の座を占めつつあることに伴ない、経済圏強化の動機が政治をいわば指導する現象がEC統合に代表されるように顕著になった点も日本に甚大な影響を及ぼしている。例えば日中関係の場でもイデオロギ-を軸とする対立から、アジア経済圏を形成する主要国としての協調の位相に移行している。現在懸案となっているコメ市場開放問題も単に日米関係のイシュ-のみではなく、長期的にはアジア・太平洋経済圏の再編成に連結する問題として把握する視角が重要である。以上の国際政治の変動に際し日本政治はその適応能力を欠き、政治改革が喫緊の課題である。しかるに海部内閣の倒壊にみられるように政治改革を実行するだけの政治指導力を持ち得ない現状はその適応不全の深刻さを物語っている。政治指導力を磨滅させた主要な原因は与野党を問わず政党組織が年功序列的な長老支配の体制に固定化し、政党幹部間の「馴れ合い」による政治運営が常態化した点に求められる。政党組織の硬直化に対し有権者は批判的な投票行動を示しており、89年参院選挙・90年衆院選挙・91年地方選挙にみられる顕著な投票移動は政界再編を促すに足りる現象である。流動的な投票行動を政治意識の革新のレベルへと媒介する重要な役割をネット・ワ-キングに代表される「新しい社会運動」が担っている。
|
Research Products
(22 results)
-
[Publications] 高畠 通敏: "地方選挙の争点とは何か" 世界. 4月号. 239-245 (1991)
-
[Publications] 高畠 通敏: "党略まみれの選挙制度改革案" エコノミスト. 7月9日号. 52-55 (1991)
-
[Publications] 高畠 通敏: "選挙制度改革で問われるもの" 月刊自治研. 11月号. (1991)
-
[Publications] 高畠 通敏: "Miyazawa Kiichi:A Statesman on Trial" Japan Quarterly. Jar.ーMar.(1992)
-
[Publications] 高畠 通敏: "新潟三区の計量分析" 立教法学. (1992)
-
[Publications] 野村 浩一: "東アジアにおける個と共同性ー二十世紀中国思潮を中心にー" 中国ー社会と文化. 6. 3-30 (1991)
-
[Publications] 野村 浩一: "社会主義体制の激変のなかの現代中国ー歴史と現代ー" 法学(東北大学法学会). 55巻1号. 186-211 (1991)
-
[Publications] 栗原 彬: "情報化で再問されるアイデンティティ-" エコノミスト. 8月13,20日号. 104-106 (1991)
-
[Publications] 栗原 彬: "いま読み解かるべき「受苦」の構造" エコノミスト. 12月24日号. 72-74 (1991)
-
[Publications] 五十嵐 暁郎: "政治改革は地方から始まる" 潮. 4月号. 174-182 (1991)
-
[Publications] 五十嵐 暁郎: "現代日本の政治文化" 日本評論. 春号. (1991)
-
[Publications] 五十嵐 暁郎: "激動する世界と平和・自由の条件" 婦人の国際協力に関する調査研究報告書(WILPF編). (1991)
-
[Publications] 五十嵐 暁郎: "地方新時代か:現代日本の地域の課題と権力" 日本フォ-ラム. 冬号. (1991)
-
[Publications] 新藤 宗幸(阿部・五十嵐編): "レ-ガン新連邦主義と政府間財政政策の展開" アメリカ現代政治の分析. 191-218 (1991)
-
[Publications] 吉岡 知哉(小野 紀明編): "マルクス的批判ー『ユダヤ人問題によせて』をめぐってー" モダ-ンとポストモダ-ンー政治思想史の再発見1ー. 157-188 (1992)
-
[Publications] 竹中 千春: "ラジブ・ガンジ-元首相暗殺南アジア揺るがすインドの混乱" 朝日ジャ-ナル. 6月7日号. 22-23 (1991)
-
[Publications] 前山 亮吉(手塚 豊編): "明治三十八年・司法改革の一考察" 近代日本史の新研究. 9. 233-255 (1991)
-
[Publications] 野村 浩一: "もっと知りたい中国Iー政治・経済篇(共著)" 弘文堂, 384 (1991)
-
[Publications] 北岡 伸一: "日米関係のリアリズム" 中央公論社, 231 (1991)
-
[Publications] 新藤 宗幸: "現代政治のオ-ルタナティヴ" 筑摩書房, 202 (1991)
-
[Publications] 新藤 宗幸: "90年代の選択(共著)" 岩波書店, 261 (1991)
-
[Publications] 新藤 宗幸: "行政指導" 岩波書店,