1992 Fiscal Year Annual Research Report
幾何学的対象物に関する文化的感性・認知の発達の日仏比較
Project/Area Number |
02451106
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Research Institution | SHIZUOKA UNIVERSITY, FACULTY OF EDUCATION |
Principal Investigator |
岡本 光司 静岡大学, 教育学部, 教授 (70169150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
弓野 憲一 静岡大学, 教育学部, 教授 (70112282)
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Keywords | 空間図形 / 日本-フランス / 立体図形の回転 / 思考の柔軟性 / サイコロ |
Research Abstract |
この研究の主目的は、日本とフランスの子どもの空間図形の認知発達の違いを明らかにすることであった。両国の小6、中2、高2の子どもと、日本の小4の子どもが3種類の空間図形に関する問題を解いた。それらは(1)5つの立方体からなる3次元立体を2次元の平面図で表現する問題、(2)さまざまに回転した立体図形が、原図形と同じものであるかどうかを判断する問題、(3)ある種の制限の下に、5つのサイコロを組み合わせて立体図形を完成する問題であった。(1)の問題に関しては、両国の子どもは、ある種の規約に従って3次元の情報を2次元の平面図で表現する力を、年齢とともに順調に伸ばしていてた。しかし、対象物への視点を変えることによって、問題を解決するという創造的解決法は、日本では5.2%の子どもにみられたが、フランスでは0%であった。この結果は、思考の柔軟性の観点から議論された。(2)の問題に関しては、両国間にあまり差がなかった。(3)の問題では、フランスの小・中学生の50%以上が回答していなかった。日本の社会にあっては、日常の生活やゲームあるいは学校等で頻繁に使用されているサイコロが、フランスではあまり用いられていないことが、日仏間の子どもの問題解決力の差として表れていると考察された。この問題を解決するために、子どもが描いた略図にも、日仏の違いが大きく表れていた。日本では、正答者の年齢があがると2次元の略図が減り、反対に3次元の略図が増加した。これに対してフランスでは、正答者で2次元的な略図を描く子どもは小6・中2ともに非常に少なく(10%前後)、ほとんどの者が3次元の略図を描いていた。両国の文化や教育の違いがこのような差を生みだしたものと考察された。
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Research Products
(1 results)