1991 Fiscal Year Annual Research Report
鉱物における構造,相変化及び物性の動的解析に基づく研究
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02452070
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
木原 國昭 金沢大学, 理学部, 助教授 (70019503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥野 正幸 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (40183032)
藤下 豪司 金沢大学, 教養部, 助教授 (50134656)
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Keywords | 格子力学計算 / 石英 / ベルリナイト / 温度因子 / 鉱物 / 構造転移 / 結晶構造 |
Research Abstract |
今年度に於いては、石英(SiO_2)の結晶構造の解析結果に基づいて、格子力学計算を中心とする研究を行った。また石英と同様の構造相転移を示すベルリナイト(AlPO_4)2ついては詳細なX線回折強度を室温から転移点直下までの7つの温度で測定した。この物質については現在、解析が進展中であり、格子力学計算は次年度に持ち越すが、相転移について以下に示するような興味ある結果が得られている。今年度の主な成果を以下に列挙する。 1.石英結晶中の原子の異方性DebyeーWaller因子を用いて、phonon振動数、弾性定数を再現できる格子力学モデルを求めるための方法を開発しながら、相転移機構の研究を進めた。その結果、(1)今までNaClなどの高対称性の単純な物質でしか行われたことが報告されていなかった原子のDebyeーWaller因子の計算が極めて容易に石英などの複雑な鉱物結晶で、しかも十分満足できる正確さをもってい実行できることを明らかにした。 (2)石英のαーβ転移の近傍でみられるDW因子のcusp状の異常は転移の原因と考えられている、光学ソフトモ-ドだけではなく、それに結合していると思われる、6回対称軸方向の低振動数の音響phononからの寄与が極めて大きいことが明らかになった。 2.AlPO_4のαーβ転移は秩序一無秩序型ではなく、変位型である可能性が極めて高いことを明らかにした。これは石英と同様の研究方法によって同様の結果が得られたということによるものであり、今後の研究によってこれらの構造に見られる相転移の機構について総合的な解釈が可能になるものと期待される。 3.転移点近傍においてDebyeーWaller因子、弾性定数、phonon振動数を総合的に最適化する格子力学計算によって、結晶解析の結果として得られるDebyeーWaller因子を格子力学モデルの作成に用いることが出来ることがわかった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kuniaki Kihara: "An Xーray study of temperature dependence of the quarty structure" European Journal of Mineralogy. vol2. 63-77 (1990)
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[Publications] Kuniaki Kihara: "Lattice dynamical calculations of anisotropic temperature factors of atoms in quary,and the structure of βーquarty" Physics and Chemistry of Minerals.