1991 Fiscal Year Annual Research Report
高速測光装置を用いた可塑性神経回路の並列情報処理機能の同定
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02452169
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
塚田 稔 玉川大学, 工学部, 教授 (80074392)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相原 威 玉川大学, 工学部, 講師 (70192838)
水野 真 玉川大学, 工学部, 講師 (80157510)
樋田 栄揮 玉川大学, 工学部, 助教授 (60142006)
加藤 宏司 山形大学, 医学部, 教授 (30006746)
斎藤 秀昭 玉川大学, 工学部, 教授 (30215553)
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Keywords | 可塑性神経回路 / 並列情報処理 / オプティカルレコ-ディング / 海馬 / 学習アルゴリズム |
Research Abstract |
1.神経細胞を色素(voltage sensitive dye)で染色し、神経細胞の電位変化に連動して変化する色素の透過光を2次元の光センサ(16×16のホトダイオ-ド・アレイ)で測定する高速測光装置が完成した。前年度問題となったS/N比はデ-タ処理用電子回路の低雑音化およびメカニカル振動の除去によって著しく改善し、海馬スライスの神経細胞の活動電位を実時間でしかも加算平均操作せずに検出できた。現在多変量解析ソフトおよび多チャンネル情報理論をデ-タ解析ソフトとして組み込み中である。 2.海馬のCA1の長期増強(LTP)について次のことが明かとなった。 (1)海馬CA1のLTPは時間パタ-ンに敏感で一定の空間パタ-ンで刺激しても時間パタ-ンが異なればLTPの大きさが変化する。ここでは時間と空間の相互作用が重要であることが明かとなった。 (2)LTPの誘導には短い感覚の刺激が有効であるが、同一の刺激が長く連続するとその効果が減弱する脱感作の現象が明かとなった。 (3)LTPの誘導はNMDAチャネルを介するCaイオンの細胞内流入によって引き起こされる。NMDAチャネルの伝達特性は頻度変調された入力インパルス系列に対し低域通過型フィルタとして働く。 (4)ある一定の時間長の刺激であればLTPの大きさに顕著な差はない。 3.2の(1)〜(4)の実験結果を作業仮説とする学習アルゴリズムを構築することができた。 4.海馬ニュ-ロンのLTPの実験結果を説明するための数理モデルを構築し、パラメ-タ適合をすることによって学習アルゴリズムの妥当性を確認した。 5.海馬ー皮質間の相互作用による学習と記憶のメカニズムを究明するための計算論的モデルの構築を開始した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 塚田 稔 他: "An induction algorithm for longーterm potentiation in hippocampal CA1 neurons studied by temporal pattern stimulation" International Joint Conterence on Neural Networks ーIICNN Singapore. 3. 2177-2182 (1991)
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[Publications] 塚田 稔 他: "A dynamic induction process for LTP in hippocampal CA1,studied by temporal pattern stimulation" 3th IBRO World Congress of Neuroscience. (1991)
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[Publications] 塚田 稔 他: "Temporal pattern discrimination in swith off learning studied by electrical stimulation in PAG of rad." World Congress on Medical Physics and Biomed,Eng,. 29. (1991)
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[Publications] 相原 威,塚田 稔 他: "Effective time series signals and their fluctuation to produce the large LTP in Dippocampal CA1 neurons." Proc.of International Conterence on Noise in Physical Systems and 1/f Fluctuations.ICNF'91. 745-748 (1991)
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[Publications] 相原 威,塚田 稔 他: "系列相関の異なる時間パタ-ン刺激による海馬CA1の長期増強" 生体生理工学シンポジウム論文集. 6. 263-266 (1991)
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[Publications] 篠本 滋,相原 威,塚田 稔: "海馬CA1のLTPの定量的研究" 生体生理工学シンポジウム論文集. 6. 267 (1991)
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[Publications] 電気学会(編)塚田 稔他: "あいまいとファジィーその計測と制御" オ-ム社, 201 (1991)