1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02452181
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森田 龍彌 大阪大学, 工学部, 助教授 (60029204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 俊輔 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (60014015)
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Keywords | 微小網膜電位 / 発光ダイオ-ド(LED)刺激 / 相関スペクトル解析 / 最小自乗推定法 / 網膜局部特性推定 / 網膜電位の成分分析 |
Research Abstract |
網膜の中心部と周辺部では視細胞の構成が異なり,視力,色覚,視覚認知機能に差異がある。網膜電位(Electroretinogram:ERG)は,従来臨床眼科における診断に応用されているが,フラッシュやパタ-ンを用いた網膜全野刺激であるため,網膜部位によるERGの差異を知ることができなかった。本研究は発光ダイオ-ド(LED)刺激によって微小ERGを計測し,時系列デ-タ解析法を適用して網膜電位の発生過程を解析することを目的とするものである。 LEDをランダム信号で発光させ,網膜水平軸上の各部位を刺激したときに発生する微小ERGをコンタクトレンズ電極により計測し,刺激の自己相関スペクトルと,刺激ーERG間の相互相関スペクトルとの比より微小ERGの周波数特性を求めた。また,周波数特性の極大部の数より,微小ERGが5成分から成立つと仮定し,各成分の発生機構を伝達関数モデルで表現して,その動的パラメ-タを最小自乗法によって推定した。刺激光には赤色(660nm)およびオレンジ色(610nm)を用い,網膜部位,刺激光による各成分の動的パラメ-タの変化を調べた。その結果,動的パラメ-タは網膜部位により一定傾向をもって変化することが判明した。この結果は,とくに盲点において不連続的な変化が認められるので信頼できると考える。従来のフラッシュERGは微小ERGが網膜全野にわたって空間加算されたものと考えられる。そこで微小ERGの成分とフラッシュERGの成分との関連性について,得られた動的パラメ-タに基づいて考察を加えた。以上の研究は国際医用生体工学会議等で発表し,高い評価を得た。現在,他の刺激光について計測を継続中であり,また,中心部と周辺部との干渉性,空間加算性等について解明するために2点刺激法の開発に取り掛かっている。1点刺激に比べさらに困難な問題があるが,次年度に向けて研究を進める。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 姜 新: "ホトダイオ-ド刺激による微小網膜電位の計測" 電子情報通信学会論文誌. J74ーDーII. 630-637 (1991)
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[Publications] 姜 新: "微小網膜電位の計測と成分分析" 電子情報通信学会論文誌. J74ーDーII. 1090-1097 (1991)
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[Publications] Xin Jiang: "Measurement of electroretinogram by light emitting diode stimulation" Medical & Biological Engineering & Computing. 29Sup.Part1. 546 (1991)
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[Publications] 稲垣 信明: "局部微小網膜電位の相関スペクトル解析" 電子情報通信学会技術研究報告. MBE91ー96. 1 (1992)