1990 Fiscal Year Annual Research Report
デ-タベ-ス指向分散オペレ-ティングシステムに関する研究
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02452279
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
益田 隆司 東京大学, 理学部, 教授 (80114130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 和彦 東京大学, 理学部, 助手 (90224493)
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Keywords | 分散オペレ-ティングシステム / デ-タベ-ス管理システム / マルチスレッド / 遠隔手続き呼び出し / 複合オブジェクト |
Research Abstract |
本年度は、デ-タベ-ス処理指向分散オペレ-ティングシステムXEROの基本機能の設計と実現を中心に研究を行なった。XEROでは、従来のデ-タベ-ス管理システムの物理デ-タ管理部が行なっていた、永続デ-タ型管理およびトランザクション管理機能をオペレ-ティングシステムの階層で支援を行なう。本年度の研究によって得られた主な知見と結果は次の通りである。 1.プログラム実行方式 当初の設計では、従来のオペレ-ティングシステムのプログラム実行単位であったプロセスを、仮想空間であるタスク、そしてOS核に仮想化されたCPUであるスレッドに分離していた。しかし、研究を進めていくうちに、実行されるプログラムモジュ-ルとスレッドとは独立と考えた方が自然であるという結論に達した。そこで、新たにプログラムモジュ-ルの単位としてコンテキストという概念を導入した。そして、これら3つの概念のもとで、主記憶上のデ-タやプログラムモジュ-ルを実行と、2次記憶上のデ-タやプログラムモジュ-ルの管理を統一的に行なうようにした。また、コンテキストの概念と、遠隔手続き呼び出しによるプロセス間通信との統合も行なった結果、数少ない概念の組合せで、分散オペレ-ティングシステムXEROのプログラムミングモデルを記述できるようになった。 2.高速スレッド操作の実現 1タスク内の複数スレッド間で、プリエンプティブで、かつ、高速なスレッド操作を可能とする実現方式の提案と実現を行なった。実現結果の性能を実験的に調べた結果、期待とおりの高速なスレッド操作が実現されていることを確認した。 3.永続オブジェクト管理 デ-タベ-スに格納するデ-タを複合オブジェクトとして管理する永続オブジェクト管理方式を設計した。複合オブジェクトの操作では、複合オブジェクト間の航行(navigation)操作の効率がシステムの性能に大きな影響を与える。航行操作を高速化する技術として、デ-タの複製(replication)技術を用いた永続キャッシング方式を開発した。この方式の解析的な評価を行なった結果、この方式では、主記憶上に保持するハッシュテ-ブル用に十分のメモリを確保できる場合は、デ-タの更新が多い場合であっても、航行操作を高速化できるとの結論を得た。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Kato,T,Masuda,and Y.Kiyoki: "ComprehensionーBased Database Language and Its Distributed Execution" IEEE Int.Conf.on Distributed Computing Systems. 442-449 (1990)
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[Publications] 加藤、千葉、猪原、益田: "無指向分散オペレ-ティングシステムXEROにおける複数言語間のメッセ-ジ通信と永続オブジェクトアクセス方式" 電子情報通信学会コンピュ-タシステム研究会CPSYー90ー49. 67-72 (1990)
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[Publications] 登内、加藤、益田: "分散環境における永続キャッシング技法" 電子情報通信学会コンピュ-タシステム研究会CPSYー90ー51. 79-84 (1990)
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[Publications] 加藤、猪原、成田、千葉、益田: "無指向的オペレ-ティングシステム技法" 情報処理学会第3回コンピュ-タシステムシンポジウム,1991,発表予定. (1991)
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[Publications] S.Inohara,K.Kato,Narita,and T.Masuda: "A Thread Facility Based on User/Kernel Cooperation in the XERO Operationg System" Dept.of Information Science,Univ.of Tokyo,Technical Report 91ー007. 1-15 (1991)
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[Publications] Y.Kiyoki,T.Kurosawa,K.Kato,and T.Masuda: "The Software Architecture of a Parallel Processing System for Advanced Database Applications" IEEE Int.Conf.on Data Engineering,1991,発表予定.(1991)