Research Abstract |
1.オ-ストラリア産,マレ-シアIpoh産,タイ産および米国Wyoming産モナザイトの希土類成分(La,Ce,Pr,Nd,Sm,Gd,Er,Yb,Y)の定量をICP法により行った。最多量成分であるCeの値(mg)は,試料記載順に45.00,44.06,44.73である。浮選挙動の基礎となる各試料の等電点の測定結果は順に7.0,5.8,5.3,3.3であり,試料間にかなりの差が認められた。捕収剤としてDACを使用した場合,pH7におけるモナザイトの浮遊率は,試料順に8%,70%,90%,51%で,タイ産が最も浮選回収が容易で,オ-ストラリア産が最も困難であることがわかった。微量成分としてFeを含む米国産のものを別とすれば,等電点の小さい順に浮遊率が高くなっており,試料鉱物とDAC間の静電気的引力の強さに基づくことがよく示されている。捕収剤としてSDSを用いる酸性領域での浮遊性の検討も行い,モナザイトとゼノタイムの最適分離条件を明確にした。 2.コロンバイトは福島県石川産(C1),ブラジル産(C2),鉄マンガン重石はポルトガル産(W1),岐阜県恵比寿産(W2)を試料とした。ICP法により決定した化学組成は,C1が(Fe_<0.68>,Mn_<0.32>)(Nb_<0.83>,Ta_<0.17>)_2O_6,C2が(Fe0.37,Mn0.63)(Nb0.67,Ta0.33)_<1.9>O_6,W1が(Fe_<0.83>,Mn_<0.17>)WO_4,W2が(Fe_<0.80>,Mn_<0.20>)WO_4である。C1とW1の磁化強度はそれぞれ0.63および0.68emu/g(15000Oe)で,極めて近接している。従って磁力選別には適さない。NaOlを捕収剤として両者を浮選すると,C1の浮遊率は68%,W1のそれは9%となり,精選操業を考慮に入れれば効果的分離が期待できる。この場合のパルプの適正pHは2〜4である。この条件下でC1は正に,W1は負に荷電するので,NaOlがC1に選択的に吸着しこの鉱物が疎水性となって浮遊する。 3.チタン鉄鉱の磁化強度を増大させるための最適熱処理温度は,試料により変動するものの,650℃〜750℃の範囲にはいる。
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