1991 Fiscal Year Annual Research Report
有害化学物質の真核微生物に及ぼす複合作用とその評価に関する研究
Project/Area Number |
02454032
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
青山 勲 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (10026239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 進 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (60033122)
村本 茂樹 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助教授 (50033121)
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Keywords | 有害化学物質 / 真核微生物 / 複合作用 / DNA修復機能 / 酵母 / 重金属 / 毒性試験 |
Research Abstract |
本研究は真核微生物である酵母を用いて、重金属を含む有害化学物質の細胞毒性及び遺伝毒性に関与するDNAの損傷性を評価するための毒性試験法を確立することを目的とする。そのために以下の研究を行う。 1.DNA修復機能欠損株の作出 酵母には3種のDNA修復機能があるが、その突然変異体に修復機能を欠損した株がある。これらの株と野性株とを戻し交雑を行うことによって、また欠損株同志をかけ合わせることによって、1種及び2種の修復機能を欠損するisogenic株を作出した。これらの株を用いて、化学物質のDNA損傷性が検出できるかどうかを検討した。明らかに変異原物質として知られている4NQOと変異原物質でないカナマイシンとの酵母の増殖特性に及ぼす影響を比較すると有意な差異が認められた。 2.重金属の増殖阻害作用と生体濃縮 重金属による細胞毒性を評価するために、酵母の増殖阻害特性を増殖速度係数を指標としてEC_<50>値を算出することによって検討した。有機水銀と無機水銀の毒性をEC_<50>値で比較すると、前者は後者より約2桁低かった。つまり100倍毒性の強いことがわかった。しかし両者の生体内濃縮量をみると、前者は後者より2桁多いことが認められた。つまり有機水銀の毒性の強さは無機水銀より細胞内にとり込まれ易いことによる。 3.重金属毒性の相互作用 化学物質の毒性の相互作用を定量的に評価するための数学モデルを検討した。ここでのモデルは、個々の化学物質の細胞に与える毒性は独立事象であると仮定して、2つもしくはそれ以上の物質が同時に作用したときの毒性の強さは、独立事象の和である同時確率で表わされるものとして表現された。このモデルを用い、統計的な有意差を考慮して、相互作用を評価すると、多くの場合に相加作用となることがわかった。
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[Publications] Muramoto,S.,Nishizaki,H. and Aoyama,I.: "The Critical Levels and the Maximum Metal Uptake for Wheat and Rice Plant When Applying Metal Oxicdes to Soil." J.Environ.Health. Bー25. 273-280 (1990)
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[Publications] Aoyama,I.and Okamura,H.: "Physiological Characteristics of Saccharomyces cerevisiae as A Test Organism for Toxicity Testing." Toxicity assessment An International Journal.(1992)
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[Publications] Ono,B.,Ishii,N.,Fujino,S and Aoyama,I.: "Role of Hydrosulfide Ions(HS^-)in Methylmercury Resistance in Saccharomyces cerevisiae." Applied and Environment Microbiology.57ー11. 3183-3186 (1991)
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[Publications] Aoyama,I.and Okamura,H.: "Interactive Toxic Effect and Bioconcentration between Cadmium and Chromium Using Continuous Algal Culture." Toxicity assessment:An International Journal.
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[Publications] Kungolos,A and Aoyama,I: "Interaction Effect,Food Effect and Bioaccumulation of Cadmium and Chromium for the System Daphnia MagnaーChlorella ellipsoidea." Toxicity assessment:An International Journal.
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[Publications] Aoyama I.: "Genetic Toxicity Testing of Chemicals Using DNA RepairーDeficient Mutants of Yeast Saccharomyces cerevisiae." Toxicity assessment:An International Journal.