1991 Fiscal Year Annual Research Report
神経情報伝達における蛋白質燐酸化酵素と脱燐酸化酵素の役割
Project/Area Number |
02454137
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田中 千賀子 神戸大学, 医学部, 教授 (20025571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春藤 久人 神戸大学, 医学部, 助手 (70206259)
斎藤 尚亮 神戸大学, 医学部, 講師 (60178499)
久野 高義 神戸大学, 医学部, 助教授 (50144564)
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Keywords | 蛋白質燐酸化反応 / 脱燐酸化反応 / プロテインキナ-ゼ / カルシニュ-リン / シナプス形成 / 神経伝達物質 / cDNAクロ-ニング |
Research Abstract |
蛋白質燐酸化反応と脱燐酸化反応は細胞内情報伝達の中枢をなす機構として、近年注目を集めている。特に中枢神経系には各種のプロテインキナ-ゼ、プロテインホスファタ-ゼが非常に多量に存在しており、神経情報伝達においても、これらの酵素が重要な働きをしていることを示唆している。本年度、私どもは蛋白質燐酸化反応の中核をなすプロテインキナ-ゼCと細胞内セカンドメッセ-ジャ-によって活性化される唯ーのプロテインホスファタ-ゼであるカリシニュ-リンについて研究を行い、以下に示すような知見を得ることができた。 1)発達期脳におけるプロテインキナ-ゼC分子種の変化を検討した。すべての分子種は発達にともなって増加するが、α、βI分子種は生下時にすでに存在するのに対して、βII、γ分子種は生下時には検出されず、シナプス形成が起こると考えられる生後1ー2週から急増することが明らかになった。 2)線条体黒質系におけるプロテインキナ-ゼC4分子種の局在と神経伝達物質の共存について、免疫組織化学的に検討した。その結果、α分子種は線条体コリン作動性細胞や黒質のド-パミン作動性細胞、βーI分子種は線条体内在性GABA神経細胞の細胞に存在していることが明らかになった。 3)カルシニュ-リン触媒サブユニットのサブタイプの脳内分布をin situ hybridization法、及び免疫組織化学的方法により明らかにした。またその活性化機構についてカルモジュリンアンタゴニストを用いて解析した。 4)GABA_B受容体をアフリカ爪ガエル卵に発現させ、プロテインキナ-ゼCにより制御されることを示した。 5)精巣特異的に発現しているカルシニュ-リンB類似蛋白質のcDNAクロ-ニングに成功した。また、酵母のカルシニュ-リンBのcDNAクロ-ニングにも成功した。 上記のように、プロテインキナ-ゼC及び、カルシニュ-リン各サブタイプの分布が明らかになり、またcDNAも得られたので、現在はそれぞれの生理適役割を明らかにするため、さらに解析を進めている。
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[Publications] M.Hirata: "Differential expression of the βIー and βIIーPKC subspecies in the postnatal developing rat brain;an immunocytochemical study." Dev.Brain Research. 62. 229-238 (1991)
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[Publications] C.Yoshihara: "Differential localization of four subspecies of protein kinase C in the rat striatum and substantia nigra." J.Neurosci.11. 690-700 (1991)
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[Publications] H.Mukai: "Calmodulin antagonists differentiate between Ni^<2+>ー and Mn^<2+>ー stimulated phosphatase activity of calcineurin." J.Biochem.110. 402-406 (1991)
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[Publications] T.Takaishi: "Differential distribution of the mRNA encoding two isoforms of the catalytic subunit of calcineurin in the rat brain." Biochem.Biophys.Res.Commun.174. 393-398 (1991)
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[Publications] K.Taniyama: "Expression of the GABA_B receptor in Xenopus oocytes and inhibition of the response by activation of protein kinase C." FEBS Lett.278. 222-224 (1991)
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[Publications] T.Kuno: "cDNA clonig of a calcineurin B homolog in saccharomyces cerevisiae." Biochem.Biophys.Res.Commun.180. 1159-1163 (1991)
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[Publications] K.Taniyama: "Advances in Experimetal Medicine and Biology" Plenum Press, 8 (1991)
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[Publications] 田中 千賀子: "〈代謝〉シグナル伝達路とそのクロスト-ク" 中山書店, 11 (1991)