1990 Fiscal Year Annual Research Report
神経伝達物質セロトニンの迅速特異的除去と脳の代謝・生理応答
Project/Area Number |
02454153
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高井 克治 東京大学, 医学部・医学科・保健栄養学教室, 教授 (10010000)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志村 二三夫 東京大学, 医学部・医学科・保健栄養学教室, 助手 (70111523)
中丸 映子 東京大学, 医学部・医学科・保健栄養学教室, 助手 (70227875)
|
Keywords | セロトニン / 中枢神経系 / トリプトファン側鎖酸化酵素 / マイクロダイアリシス / グルタミン酸 / テトラハイドロバイオプテリン / 睡眼 / 覚醒リズム / 大脳皮質 |
Research Abstract |
脳のセロトニン(5ーHT)ニュ-ロンは、脳幹より全脳に投射する「大放散系」として各局所で多様な分子種の受容体を介し固有の高次機能を調節する、「広域高次調節系」と考えられているが、本研究の目的はこの5ーHT系の「全体同調」の存否と意義、動的な「局所調節」の実体の解明であり、これは究極的には「脳全体」の組識化についての新しい視点を供するものである。このため我々はラットを用い、実験的にこの5ーHT系を全体として迅速・特異的・可逆的に擾乱又は停止せしめ、それに対する脳局所の代謝応答の性質と過渡特性そして生理応答を調べこれを本来の5ーHT系の役割の「逆ベクトル」として把えて本質に近づくというアプロ-チを行って来た。本年度は5ーHTニュ-ロンの稠密な大脳皮質に一歩を進め、視床に著しい各周期を持つ5ーHTニュ-ロン活性のリズムの問題と共に視床ー皮質の対応関係を生理のみならず、代謝回転や神経伝達物質による調節の面から明らかにしていくことを試みた。実際には脳局所のマイクロダイアリスで10分以内の少容量サンプリングの連続測定及びOPAプレラベルアミノ酸高速分析を可能にするべく安定した分析条件等の改良を進めた。これらの実験技術の向上により局所で異なる5ーHT回転リズムの詳細が判明し、又サ-ミスタ常置による脳局所温連続測定で皮質に1〜2分の鋭い律動を見出した。動的な擾乱時のみに畜積する末同定の透析性物質は主な性質は明瞭となり、大量に集め精製・同定という段階に達した。さらに、皮質5ーHTニュ-ロンはトリプトファン側鎖酸化酵素の投与により同調減少するが、線条体等他部位と異なり5ーHT生合成系補酵素の局所潅流に応答する回転回復がなく、正常下で著しいアミノ酸系伝達物質の遊離が促進される事を発見した。5ーHT以外の系も同時或いは逐次除去する多重擾乱に対するアプロ-チも開始した。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] E.NAKAMARU <et>___ー <al.>___ー: "Enzymatic derivatizations of tryptophan residues in peptides and proteins,free tryptophan,and its metabolites with tryptophan side chain oxidase types I and II from <Pseudomonas>___ー" Amino AcidsーChemistry,Biology,and Medicine(Lubec,G.and Rosenthal,G.A.,eds). 1059-1066 (1990)
-
[Publications] A.KANDA <et>___ー <al.>___ー: "Tryptophan side chain oxidase:Types I and Types II from <Pseudomonas>___ー" Amino AcidsーChemistry,Biology,and Medicine(Lubec,G.and Rosenthal,G.A.,eds). 1052-1058 (1990)
-
[Publications] K.TAKAI <et>___ー <al.>___ー: "Enzymatic depletion of rat blood tryptophan <in>___ー <vivo>___ー and its consequencesーrapid depletion of brain serotonin and perturbation of sleep/waking patterns" Amino AcidsーChemistry,Biology,and Medicine(Lubec,G.and Rosenthal,G.A.,eds). 352-358 (1990)