1992 Fiscal Year Annual Research Report
わが国に分布する赤痢アメーバ株の病原性・及び生物学的性状についての検索
Project/Area Number |
02454174
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
竹内 勤 慶応義塾大学, 医学部, 教授 (00051847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 信明 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (50177523)
奥沢 英一 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (20177166)
小林 正規 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (70112688)
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Keywords | 赤痢アメーバ / 病原性 / 地理病理学 / 性感染症 / 血清学 |
Research Abstract |
1、赤痢アメーバ株の分離、病原性の検討は主に男性同性愛者の感染例とAIDS症例について実施した。分離された株は全部で9株であるが全てが血清反応陽性例からであり、アイソザイムパターンは病原株のパターンを示した。現在全部の株が継代維持されている。 2、分離株の病原性は上述のようにザイモデーム分析と我々が橘(東海大)と開発した病原株に特異的なモノクローナル抗体(4G6)を用い間接蛍光抗体法によって検索したが良好な一致が得られた。 3、感染株の病原性と病態(特に抗体産生)との関連を詳しく探るためにフェノール抽出抗原(PHEX抗原)を用いて赤痢アメーバ感染者の血清学的側面を再検討した。その結果、従来の方法で陰性とされてきた病原株感染のごく初期や、非病原株感染の一部においても陽性となることが判明した。この血清反応に関与する抗原に関しても精製を進めているが、現時点ではアメーバの細胞膜表層に存在するリン酸化された多糖類が抗原成分であるというデータを得ている。 4、分離株の無菌化は特に非病原株について行なっているが、その増殖因子としてアセトン、イソプロパノール、アセチルシステインなどが見出だされた。現在BI-S-33培養液を基礎とした非病原株の無菌培養化を計っている。現時点ではアイソザイム変換は認められていない。 5、名大の磯村博士らと共同で男性同性愛者の血清疫学的検索を行なった。アメーバの感染は不特定多数と性交渉を持ったグループに多いという予備的な結果が得られている。 6、地理病理学的検索をも実施し、日本とインドとの関連が改めて示唆された。
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[Publications] Tachibana,H.et al.: "Analysis of pathogenicity by restriction-endonuclease digestion of amplified genomic DNA of Entamoeba histolytica isolated in Pernambuco,Brazil" Parasitology Research. 78. 433-436 (1992)
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[Publications] Kobayashi,S.et al.: "Zymodeme profiles and reactivity to a monoclonal antibody specific for pathogenic Entamoeba histolytica of the isolates from serologically positive Japanese homosexual men with invasive amebiasis" Japanese Archives of Sexually Transmitted Diseases. 3. 127-130 (1992)
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[Publications] Asai,T.et al.: "High correlation in antibody titers between the Sabin-Feldman dye test and an enzyme-linked immunosorbent assay detecting immunoglobulin G antibodies to the nucleoside triphosphate hydrolase of Toxoplasma gondii" Journal of Clinical Microbiology. 30. 1291-1293 (1992)
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[Publications] Motta,S.R.N.et al.: "Amebicidal activities of semi-synthetized ailanthone derivatives and their effects on glycogen metabolism of the causative protozoon,Entamoeba histolytica" Proceedings of the 8th Japan-China Joint Seminar on Parasitic Diseases. 63-65 (1992)
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[Publications] 竹内 勤、他: "わが国の男性同性愛者間に分布している赤痢アメーバの病原性に関する研究" Clinical Parasitology. 3. 18-20 (1992)
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[Publications] 竹内 勤: "輸入寄生虫病" 日本臨床. 50. 2824-2833 (1992)
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[Publications] 竹内 勤: "今日の治療指針" 医学書院, 1304 (1993)
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[Publications] 竹内 勤: "伝染病予防必携第4版" 日本公衆衛生協会, 444 (1992)