癌ミサイル療法の臨床応用を目ざしたモノクロ-ナル抗体結合抗癌剤の研究

1991 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 02454318
• Research Institution: Kyoto Prefectural University of Medicine
• Principal Investigator: 高橋 俊雄 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (50079828)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 萩原 明於 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (90198648) ; 山口 俊晴 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (90111327)
• Keywords: モノクロ-ナル抗体 / ミサイル療法 / 抗癌剤 / 大腸癌 / 膵癌 / HAMA / キメラ抗体 / ポリエチレングリコ-ル

Research Abstract

I.モノクロ-ナル抗体A7と抗癌剤ネオカルチノスタチンNCSとの複合体A7ーNCSを、大腸癌およびその肝,肺,腹膜転移,膵癌に投与し、以下の結果が得られた。
(1) 大腸癌の術後肝転移19例のうちCT上腫瘍縮小の認められたものは21%であった。遠隔成績では通常の動注療法より有意に延命効果を認めたが、多剤併用化学塞栓療法とは差異がなかった。
(2) 手術と併用した大腸癌症例では、全症例についてはA7ーNCSの投与、非投与群で差異はないが、Stage IVでは投与群が非投与群より長期生存した。
(3) 副作用として,重篤なものはなかった。A7ーNCS投与例にヒト抗マウス抗体HAMAが1gGクラスで100%,1gMクラスで70%に検出され、1gEクラスでは検出されなかった。
II.以上の臨床的検討から,マウスモノクロ-ナル抗体投与によって惹起される問題を解決するため以下の検討を行った。
(1) マウスモノクロ-ナル投与後1週以後にHAMAが形成されるので、1週以内に大量のA7ーNCSを頻回投与し、副作用の発現はなかった。
(2) モノクロ-ナル抗体A7のヒト・マウスキメラ抗体を遺伝子組変え操作により、安定的に作製することに成功した。本抗体の反応性を検討したところ、マウスモノクロ-ナル抗体A7とほぼ同様であった。
(3) キメラA7とネオカルチノスタチンとの複合体の作製に成功した。この複合体は抗体活性,抗癌剤活性をあわせ持っている。
(4) モノクロ-ナル抗体をポリエチレングリコ-ルにより修飾すると、HAMAの産生を抑制することを明らかにした。また、腫瘍への集積性も向上する結果が得られた。

Research Products

• [Publications] Noguchi,A.,Takahashi T,Yamaguchi,T.et al: "Tumor localization and in vivo antitumor activity of the immunoconjugate composed of antiーhuman colou cancer monoclonal antibody and mitomycin Cーdextranconjugate." Jpn J Cancer Res.82. 219-226 (1991)
• [Publications] Kitamura,K.Takahashi T,Yamaguchi T.et al.: "Chemical engineering of the monoclonal antibody A7 by Polyethylene glycol for targeting cancer chemo therapy." Cancer Res.51. 4310-4315 (1991)
• [Publications] Kitamura,K,Takahashi,T, K,Noguchi,A.et al.: "Pharmacokinetics analysis of monoclonal antibody A7ーneocarzinostatin conjugate administered to nude mice." Tohoku J exp.Med. 164. 203-211 (1991)
• [Publications] Takashina.K,Kitamura K,Yamaguchi T.et al.: "Comparative Pharmacokinetics properties of murine monoclonal antibody A7 modified with neocarzinostatin,dextran and polyethlene glycol." Jpn J Cancer Res.82. 1143-1150 (1991)
• [Publications] 山口 俊晴,高橋 俊雄: "モノクロ-ナル抗体によるタ-ゲティングーがんに対するミサイル療法ー" 細胞工学. 10. 97-102 (1991)
• [Publications] 山口 俊晴,高橋 俊雄: "モノクロ-ナル抗体を担体としたミサイル療法とその問題点" Drug Delivery System. 6. 331-337 (1991)
• [Publications] Takahashi T,Hagiwara A,Sawai K,et al.: "Targeting Chemotherapy to lymphnode and paritoneal metastases to gastric cancer using high dose mitomycin C adsorbed on activated carbonparticles In Mitomycin C in cancer chemotherapy." Except.Medica, 13 (1991)
• [Publications] 山口 俊晴,高橋 俊雄: "モノクロ-ナル抗体によるがんのタ-ゲティング化学療法" CRC, 15 (1992)