1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02454325
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古瀬 彰 東京大学, 医学部(病), 教授 (70010163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 誠 東京大学, 医学部(病), 助手 (10236482)
川内 基裕 東京大学, 医学部(病), 助手 (00152918)
進藤 剛毅 東京大学, 医学部(病), 助教授 (70092244)
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Keywords | 同種肺移植 / 日本猿 / FK506 / 病理組織所見 / 免疫組織染色 / CD4 / CD8 / MHC抗原 |
Research Abstract |
一側同種片肺移植の日本猿の脾臓ならびに移植肺の免疫組織染色を行い、同種肺移植における変化を検討した。免疫抑製剤としてはFK506を使用し、モノクローナル抗体としては、CD4、CD8、L26、HLA-ABC、HLA-DR、DP、DQを用いた。 〔結果〕免疫抑製剤投与群では第3病日に、肺血管周囲にリンパ球浸潤を著明に認め、第5-6病日には肺胞壁への浸潤及び壁肥厚を、第7病日以降には肺組織の壊死を認めた。移植肺の肺血管周囲及び肺胞壁単核球浸潤細胞数はFK506投与群で有意に少なかった。免疫組織染色では、非投与群においてCD8、CD4陽性細胞を肺血管周囲に認め、経過中次第にその数は増加した。これに対して、FK506投与群では有意に陽性細胞が少なく、また経過中増加傾向を認めなかった。FK506を投与し、20日以後犧性死せしめた日本猿のL26抗体による検討では、脾臓では白脾髄、赤脾髄の形態的変化、B cell集合形態の変化は認められなかったが、移植肺においては、正常肺においては認められないB cellの肺間質への浸潤が認められたが、散在性であった。class 1抗原(HLA-ABC)では正常及び非移植対側肺では肺胞、気管支上皮、血管内皮が全体的に広がり脾臓では正常脾臓に比し、染色細胞密度が高く、かつ濾胞周囲の細胞が多染した。classllではHLA-DRのみが染色し、移植肺、脾臓に強調され、特に、血管内皮気管支上皮に著しい傾向を示した。脾臓ではclass 1と同様の傾向を示した。 [結論]MHC抗原の発現、B cell、CD4、CD8陽性細胞の出現が同種移植肺において認められた。MHC抗原の発現は免疫抑制剤使用下においても認められた。CD4、CD8陽性細胞、B cellの出現は拒絶反応の進行と密接な関係があると考えられた。
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[Publications] 中島 淳 他2名: "心臓移植の歴史と現況" ハートナーシング. 5. 78-84 (1992)
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[Publications] 進藤 剛毅: "肺移植最近の進歩" 医学のあゆみ. 160. 186 (1992)
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[Publications] 中島 淳 他8名: "肺移植のおける水素電極方式による気管支粘膜絶対血流測定" 移植. 27. 294-299 (1992)
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[Publications] 中島 淳 他9名: "肺移植における胸腔内洗浄液による拒絶モニタリングの試み" 移植. 27. 559-565 (1992)