1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02454335
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
田中 隆一 新潟大学, 脳研究所, 教授 (30018816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 憲夫 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (20150302)
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Keywords | hypothalamus / immune response / rat / immunological memory / flow cytometry |
Research Abstract |
初年度にはラット前視床下部破壊がリンパ球サブセットならびにnatural killer(NK)活性に及ぼす影響を調べ,胸腺細胞でTCRα/β+T細胞の比率が低下し,脾臓細胞ではCD8+T細胞の比率の上昇とCD4/CD8比の低下が示され,NK活性は低下傾向を示す事がわかった。今年度は,前視床下部破壊が免疫学的記憶に及ぼす影響も調べる目的で,MMC処理Rat Basophilic Leukemia Cell(RBLー1)にて皮下免疫したFisherラットの前視床下部を2週間後に破壊し,その1週間後RBLー1細胞を腹腔内投与し,4日後に回収した細胞のMHC抗原の発現性をFACScanを用いて測定した。最初にRBLー1細胞のMHC抗原の発現性を検討すると,クラスI抗原陽性,クラスII抗原陰性であり,72時間のIFNγ処理でクラスII抗原の発現が増強される事を確認した。そこで無処置ラット腹腔内に投与して回収したRBLー1細胞のMHC抗原発現性の変化を調べたところ,クラスI抗原の発現は変化なく陽性,クラスII抗原の発現率も10%以下のままであった。次いで同種異系腫瘍であるRBLー1で皮下免疫したラットの腹腔内にRBLー1細胞を投与し,回収後のMHC抗原の発現変化を調べたところ,クラスII抗原の発現は約90%に増強されることがわかった。そこで皮下免疫したラットの前視床下部を破壊した後,腹腔内投与して回収したRBLー1細胞を用いて同様の検討を加えたところ,組織学的に前視床下部が正確に破壊されていなかった例ではクラスII抗原の陽性率は約75%前後であったが,正確に破壊されていた例では陽性率は30%台と低下することがわかった。以上よりラット前視床下部がMHCクラスII分子を介するT細胞の活性化に関与している可能性が示され,現在例数を増やし,実験を継続中である。
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