1990 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト胎児肺低形成の病態生理学的および病理形態学的研究
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02454385
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| Research Institution | Kyushu University |
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Principal Investigator |
塚本 直樹 九州大学, 医学部, 助教授 (30038830)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
居石 克夫 九州大学, 医学部, 教授 (70108710)
坂井 和裕 九州大学, 医学部, 助手 (30221261)
前田 博敬 九州大学, 医学部, 助手 (20199631)
小柳 孝司 九州大学, 医学部, 助教授 (30136452)
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| Keywords | Nonーimmunologic hydrops fetalis / hypoplastic lung / Surfactant apoprotein / Radial alveolar count / Immunohistochemistry |
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| Research Abstract |
本年度は胎児肺低形成の発生過程を明らかにする目的で、1)形態:肺の発達過程、2)機能:肺サ-ファクタント産生能の2点について検討を加えた。対象は非免疫性胎児水腫(NIHF)42例、肺低形成や肺硝子膜症のない対照群59例を用いた。肺低形成の基準は肺体重比0.012未満とした。
1)肺の発達過程の検討には、呼吸細気管支から中隔・胸膜への垂線上の肺胞数を計測するRadial alveolar count(RAC)を用いた。RACは36週以降で対照群4.3±0.62、NIHF群3.6±0.25(p〈0.05)、31ー35週で対照群3.3±0.29、NIHF群2.9±0.34(p〈0.01)、26ー30週で対照群2.8±0.33、NIHF群2.5±0.20(p〈0.01)であった。以上より、NIHFでは妊娠26週以降では有意にRACが減少しており、形態学的に肺胞の発育遅延が存在することが示唆された。
2)肺サ-ファクタント産生能はABC法を用いて免疫組織化学反応を行い、II型肺胞上皮細胞におけるアポ蛋白の発現性を半定量的に解析した。一次抗体には三種の抗Surfactant apoprptein(AP)抗体を用いた。評価は陽性細胞数の出現頻度と分布を指標にし、(++)びまん性、(+)散在性、(-)殆どないの三段階に分類した。家兎抗AP抗体、PE10に対する反応は対照群では胎令23週から陽性例が出現し、31週以降多くの例が(++)を示した。一方、NIHF群では31週以降有意に反応性が低下しており、II型肺胞上皮細胞の機能的成熟遅延の存在が示唆された。PE10に対する反応は、31週以降(++)を示さなかった12例中10例が胸水貯留例であり、うち7例は2週間以上の胸水貯留例、8例は肺低型成例であった。HSー2に対する反応は、対照群では胎令20週より陽性例が出現し、26週以降で多くの例が(++)を示した。NIHF群での反応性は26ー30週で有意に反応性が低下し、31週以降では低下を認めなかった。以上より、胎児のII型肺胞上皮細胞の機能成熟におけるAPーAとAPーBの持つ意義が異なる可能性が示唆された。
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