1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02454445
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大山 喬史 東京医科歯科大学, 歯学部障害者歯科学, 教授 (50064366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 嘉男 東京医科歯科大学, 歯学部口腔生理学, 教授 (10010026)
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Keywords | 口腔機能 / 運動能力 / ヒト / ヒラメ筋 / 脊髄単シナプス反射 / H波 / 噛みしめ / 促通 |
Research Abstract |
咬合機能と運動能力との間の相関に関する実証的研究はこれまで皆無であった。そこで、本研究は、口腔機能と全身の運動機能との相関の有無をヒトで定量的に明らかにすることを第一の目的とした。運動能力の指標としては最も解析が進んでいる脊髄単シナプス反射である誘発筋電図のH波を用い、随意性最大努力で噛みしめを行った時、ヒトのヒラメ筋に誘発したH波の振幅にどのような変化が起こるかを解析した。顎口腔機能に異常の認められない7人の健康成人に対して検索を行ったところ、被検者全員で、H波に有意な促通が認められた(p<0.01)。さらに、H波に対する効果を、噛みしめと体の他の部位における随意性運動とで比較する目的で、同じ7人の被検者にJendrassikの手技及び両拳の握りしめを行わせたところ、6人の被検者において、噛みしめによる促通効果が他2者に比べて、促通量が有意に大きいことが判明した(p<0.05)。残る1人においても、H波の変動が比較的大きかったため統計的な有意差はなかったが、同様な傾向を示した。次に、この促通現象が口腔機能のどのようなパラメ-タ-と相関があるのかを検索する目的で、まず噛みしめの強さを選択して実験を行った。噛みしめの強さの指標としては右側咬筋筋電図の積分波形の振幅を用いた。この波形をモニタ-上に表示し、最大噛みしめ時に計測した振幅を基準に5段階に噛みしめの強さを設定した。この目標値をモニタ-上に表示し、被検者に咬筋筋電図の積分波形の振幅をこれに一致させることによって噛みしめの強度を制御し、H波に対する効果を5人の被検者に対して検索した。その結果、5人全員でH波の促通量と咬筋筋電図の積分波形の振幅の間には、有意な正の相関があることが判明した(p<0.05)。以上の結果より、1)噛みしめ時にはヒトヒラメ筋の脊髄単シナプス反射は著しく亢進していること、及び2)この現象は噛みしめの強さと有意な正の相関を示すことが結論された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 宮原,隆雄: "ヒトヒラメ筋H反射の噛みしめ時の変調" 歯科基礎医学会雑誌. 32(Suppl.). 117-117 (1990)
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[Publications] 大山,喬史: "咬合と競技力" 日本歯科医師会雑誌. 43. 1255-1262 (1990)
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[Publications] Miyahara,Takao: "Correlation between Soleus HーReflex and EMG Activity of M.Masseter during Clenching in Humans" Journal of Dental Research. (1991)