1991 Fiscal Year Annual Research Report
褥瘡の発生に及ぼす体温・血流に関する臨床看護学的研究
Project/Area Number |
02454501
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
氏家 幸子 大阪大学, 医療技術短期大学部, 教授 (90030006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿曽 洋子 神戸市立看護短期大学, 助教授 (80127175)
丸橋 佐和子 大阪大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (30030018)
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Keywords | 褥瘡高齢者と易褥瘡高齢者 / 体温の変化 / 体タンパクの不足 / 皮膚温の上昇 / 仙骨部と中殿筋部の深部温 / 筋・皮下組識の変化 / 体圧 / 組織の壊化 |
Research Abstract |
高齢者の褥瘡の発生しやすい状態を知るために、入院治療中の褥瘡のある患者(褥瘡高齢者)25名、褥瘡状態をおこしやすいが現在は外見的には褥瘡のない患者(易褥瘡高齢者)15名、および健康で普通生活をしている高齢者(健康高齢者)8名の皮膚温、深部温および血流を測定し比較分析した。また、これと平行して、看護婦に面接調査を行い、さらに血流検査報告書を調査したところ、次のような結果を得た。 1.栄養・貧血に関する血液検査値は、全項目ともに褥瘡高齢者、易褥瘡高齢者の方が健康高齢者より、有意に低い。 2.サ-モグラムによる皮膚温は、健康高齢者は体位変換直後の温度より、10分後の方が低下しているが、褥瘡、易褥瘡高齢者のそれは、10分後の測定値に上昇がみられた。 3.褥瘡、易褥瘡高齢者の深部温(10mm)は、仙骨近位部(仙骨部)、中殿筋部ともに、体位変換直後より10分後の方が上昇している。 4.健康高齢者の深部温は、臥床前では仙骨部の方が中殿筋部より高いが、体位変換直後のそれは中殿筋部の方が仙骨部より高く、しかも、温度の上昇幅の値も中殿筋部の方が大きい。 以上から、褥瘡ができる状況のときは、癸赤や表皮別離が起こる以前から、骨に近い組識に変化が生じているものと考えられる。また、組識を形成するタンパク質が不足し、組識に栄養を供給する血液の組成が不十分であれば、体圧などで血液の供給が悪くなった組識に壊死変化が生じやすいので、これに対応する看護技術の検証が、今後の課題である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 氏家 幸子: "高齢者の褥瘡の予防・看護ケアに関する研究(第2報)深部温の経時変化による検討" 大阪大学医療技術短期大学部研究紀要 自然科学・医療科学編. 19. 11-18 (1991)
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[Publications] 丸橋 佐和子: "仙骨部と中殿筋部の深部温と褥瘡発生の関連について" 大阪大学医療技術短期大学部研究紀要 自然科学・医療科学編. 20. (1992)
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[Publications] 阿曽 洋子: "高齢者の仙骨部サ-モグラムと褥瘡の関連" 日本サ-モロジ-学会第9回大会一般演題論文集. 12. (1992)
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[Publications] 氏家 幸子: "褥瘡の発生に及ぼす体位と循環動態" 日本看護科学学会誌. 12. (1992)
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[Publications] 阿曽 洋子: "褥瘡患者の体位変換に関する研究ー皮膚温と深部温との関連" 日本看護科学学会誌(第12回学術集会). 12. (1992)
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[Publications] 丸橋 佐和子: "仰臥位による仙骨部の深部温変化からみた看護ケア" 第23回日本看護学会集録ー老人看護. 23. (1992)
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[Publications] 氏家 幸子 (単著): "基礎看護技術第4版" 医学書院, 650-30 (1993)
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[Publications] 氏家 幸子 (編著): "ビジュアル老人看護百科 SALUSサ-ルス第2巻「臨床老人看護学の展開」" 桂樹社, 232-15 (1992)