1992 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者尿失禁の誘発・増悪に関与する危険因子の解明および予防と緩和法に関する研究
Project/Area Number |
02454503
|
Research Institution | St.Luke's College of Nursing |
Principal Investigator |
小島 操子 聖路加看護大学, 看護学部, 教授 (50035333)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 久美 聖路加看護大学, 看護学部, 助手 (60226503)
田中 京子 聖路加看護大学, 看護学部, 講師 (90207085)
渡邊 真弓 聖路加看護大学, 看護学部, 講師 (80201234)
手島 恵 聖路加看護大学, 看護学部, 講師 (50197779)
田村 正枝 聖路加看護大学, 看護学部, 助教授 (30155270)
|
Keywords | 尿失禁発生・増悪の予測 / 判別式 / 尿失禁に対する看護婦の意識 / 尿失禁に対する患者の考え方 / 予防・緩和の方法 |
Research Abstract |
本年度は、前年までの研究により導かれた尿失禁の発生・増悪を予測する判別式の信頼性、有効性と、その適用の現実性を明らかにすることおよび尿失禁の発生・増悪を予防緩和する方法について検討を行った。 方法は、判別式を適用するための〈予測・判別のための質問紙〉およびその回答の根拠についての面接を行った。対象は一般病院に入院している65歳以上の高齢者とそのケアに携わっている看護婦である。〈予測・判別のための質問紙〉は、平成3年度の研究により明らかになった判別式の4つの因子「尿失禁に対する看護婦の意識」「尿禁制力」「知的状態」「尿失禁に対する患者の考え方」で構成されており、看護婦に対して5問、患者に対して3問の合計8問で4段階尺度で回答するものとした。また、その回答の根拠について自由に述べてもらった。 その結果、対象となった患者は27名で、性別は男性12名、女性15名で、年歳は68歳から92歳(平均79.9歳)であった。そのうち失禁してしる者は4名で、3名が全失禁で1名が夜間のみの失禁であった。判別式の信頼性を検討するために、これらの患者について失禁の発生・増悪の予測を行ったところ、誤判別されたのは3名で誤判別率は11.1%であった。この3例は実際には失禁していないが失禁群と判別され、失禁発生高リスク者と考えられた。また、有効性を検討するために各因子の関与度をみると、実際に失禁している4名のうち全失禁の3名は4つの因子とも高く関与し、特に、「看護婦の失禁に対する意識の低さ」が高かった。高リスク群の3例は「患者の失禁に対するあきらめ」と「看護婦の失禁に対する意識の低さ」が高く関与していた。判別式適用の現実性としては、〈予測質問紙〉の回答にかかる時間は看護婦、患者とも5分程で、回答に困難は見られなかった。緩和・予防のためには看護婦の尿失禁に対する意識を高める教育および患者の意欲を高めるような援助が考えられた。
|