1990 Fiscal Year Annual Research Report
Hairy cell leukemia腫瘍細胞から産生される造血抑制物質の研究
Project/Area Number |
02454518
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木谷 照夫 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (80028406)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳嶺 進洋 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (90207564)
倉恒 弘彦 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (50195533)
|
Keywords | 造血幹細胞 / 白血病 / 抑制性サイトカイン / 造血抑制物質 / CSF / 有毛細胞白血病 / リンホカイン |
Research Abstract |
Hairy cell leukemia(HCL)の腫瘍細胞(HC)から産生される造血コロニ-形成抑制物質(HCーCIF)は無刺激HCの培養上清中に認められる比較的低分子(分子量5,000〜6,000)のペプタイドである。我々はこれまで検索したHCLの全例においてこの活性を認めたが、これらの例は欧米型、本邦型、prolymphocytic rariantの全ての亜型にわたり、いずれも巨脾を有し、好中球絶体数の減少があった。ところがごく最近、HCLの細胞学的診断基準を満しながらも、脾腫を認めず、好中球数がむしろ増加した症例を見い出し、この例についてHCーCIFを調べたところ、この例のHCーCIFを産生していないことが明らかとなった。しかしこの例でもHCをSACで刺激したところ、強い活性の産生を誘導しうることが分った。現在この誘導の機序について検討中である。 HCーCIF活性の検出、力価の評価はヒト造血コロニ-形成法によっているが、この方法は正常骨髄材料を得ることが困難なことから研究遂行の1つの障害となっている。HCーCIFはマウス造血コロニ-形成の抑制はみられないのでマウス細胞の利用はできない。そこでヒトGーCSF依存性細胞株OCI/AML 1aの供与を受け、この細胞のGーCSF増殖に対する抑制系を利用して活性の検出を行おうとした。ところが、この細胞株ではHCーCIFを含むHC上清はむしろ細胞増殖を亢進させた。この無刺激培養上清には他のcytokinesを含まないことをみているので、この現象はHCーCIFのmultifunctionを示唆し、特に腫瘍細胞株における作用の逆転は極めて興味深い現象である。HCーCIFの機能としてCSF増殖抑制能にとどまらず、HCーCIF単独でのCIF以外の機能の検討も計画中である。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Machii,T.;Tokumine,Y.;Inoue,R.;Kitani,T.: "A Unigue variant of HCL in Japan" Jpn J.Med. 29. 379-383 (1990)
-
[Publications] Kitani,T.: "Chronic B cell lymphocytic leukemias:Diagnosis and cytologic characteristics of their cells" Acta Haematol.Jpn. 52. 1279-1286 (1989)
-
[Publications] 木谷 照夫,徳嶺 進洋: "慢性リンパ性白血病の増殖機転" 医学のあゆみ. 15. 876-880 (1990)
-
[Publications] 木谷 照夫,待井 隆志,徳嶺 進洋: "Hairy cell leukemia" 血液・腫瘍科.