1990 Fiscal Year Annual Research Report
在日韓国・朝鮮人の生活・文化と適応に関する保健社会学的研究
Project/Area Number |
02551003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
園田 恭一 東京大学, 医学部, 教授 (20009898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉澤 篤子 日本学術振興会, (東京大学・医学部), 特別研究員PD (90211979)
杉澤 秀博 東京都老人総合研究所, 社会学部, 研究員 (60201571)
朝倉 隆司 東京学芸大学, 教育学部, 助手 (00183731)
大島 巌 国立精神保健研究所, 研究員 (20194136)
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Keywords | 在日韓国・朝鮮人 / 民族的な生活様式 / アイデンティティ / 予防的保健行動 / 症状への対処行動 / 職場環境評価 |
Research Abstract |
研究目目(1)の「世代間比較および地域比較による在日韓国・朝鮮人の生活適応の過程と変化」に関しては、主として川崎と大阪の2地域で、各種の機関や団体や集団を通して協力が得られた在日韓国・朝鮮人に対するヒアリングを通して進められている。調査はなお進行中で、世代間並びに地域比較の分析もまだなされていないが、面接が終了している226名についての全体的な集計結果によれば、血縁の上では半数以上が本国との密接なつながりを失っており、また言葉に関しても母国の文化が失われつつあるものの、食事などの民族的な生活様式は、6割から8割程度が受け継がれていることが分かった。また、アイデンティティに関する項目では、「自分は韓国・朝鮮人であるという自覚がある」という考えには86.7%のものが「そう思う」と答え、「帰化したい」は10.2%にとどまったが、他方「本国に帰りたい」は12.0%で、「在日韓国・朝鮮人独自の文化をつくりたい」が53.6%、民族の誇りをもって生活している」63.8%の高さが目についた。 研究目的(2)の「ライフスタイル、保健行動、主観的健康観と社会的文化的要因との相互関連」については、同一の調査票を用いての在日韓国・朝鮮人と日本人、そして本国の韓国人との比較という方法で進められているが、飲酒頻度、飲酒量、喫煙量、朝食摂取等の「予防的保健行動」の項目では、在日韓国・朝鮮人は日本人や韓国人よりも不良な状態にあり、運動や検診受診などでは、日本人、在日韓国・朝鮮人、そして韓国人という中間の値を示した。また、「症状への対処行動」に関しても、軽微な症状への対処行動を除けば、他のどの健康段階においても、在日韓国・朝鮮人は、日本人や韓国人よりも不良な状態にあることが分かった。なお、職場環境評価では、在日韓国・朝鮮人では、それを「悪い」とするものと「良い」と答えたものの二極に分れている。
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Research Products
(1 results)