1992 Fiscal Year Annual Research Report
老人性難聴者の聴力補綴を目的とした音韻強調・雑音仰圧型指向性補聴器の試作
Project/Area Number |
02555086
|
Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
斎藤 正男 東京大学, 医学部(医), 教授 (60010708)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢口 喜明 テルモ株式会社, 技術開発部・ME開発部門, 研究員
池田 研二 東京大学, 医学部(医), 助手 (70010030)
渡辺 瞭 東京大学, 医学部(医), 助教授 (00009937)
|
Keywords | ホルマント遷移 / ローカル・ピーク / 摩擦子音 / 短区間スペクトル / 聴覚フィルタ / 適応型ディジタル・フィルタ |
Research Abstract |
今年度は、子音の増幅強調を目的として、子音部の出わたりにおけるホルマント遷移と、持続部の帯域雑音成分とを増幅強調するアルゴリズムを開発し、音声知覚実験により処理系の有効性について検討した。以下に、それぞれの詳細を述べる。 出わたりにおけるホルマント遷移を強調するため、ヒトの聴覚フィルタに合致した中心周波数と帯域幅とを持つ、複数個の帯域通過フィルタをあらかじめ生成した。一方、子音の特徴が出現しやすい切り出し区間とサンプリング間隔とを選び、音声信号を中高帯域でセレクティブに線形予測分析することにより、短区間スペクトル包絡を求めた。あらかじめ生成しておいた帯域通過フィルタ群の中から、得られたピーク周波数に合うものを自動選択するようにし、これにより適応型の強調フィルタをほぼ実時間で実現した。加工音声に対し明瞭度検査を実施した結果、摩擦音では劣化が見られたものの、無声および有声破裂音のように、出わたりに識別上の音響的手がかりを持つ子音に、このアルゴリズムは有効であった。 一方、帯域雑音成分に音響的特徴を持つ子音を強調するため、特に雑音成分の多い摩擦子音を検出するアルゴリズムを開発した。音声信号をいくつかの周波数帯域に分け、各帯域の成分量を基礎情報として論理回路を構成した。その結果、入力総量、1500Hz以下の成分量、4kHz付近の成分量、の3情報を利用すると、摩擦子音の検出を正確に行なうことができた。白色雑音を音声に付加した場合でも、検出が可能であった。
|
Research Products
(1 results)