1991 Fiscal Year Annual Research Report
肥満成立を支配する脂肪細胞形成能の検定と制御法の開発
Project/Area Number |
02556017
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉本 悦郎 京都大学, 農学部, 教授 (50026522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 和生 京都大学, 農学部, 助手 (80213148)
河田 照雄 京都大学, 農学部, 助手 (10177701)
伏木 亨 京都大学, 農学部, 助教授 (20135544)
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Keywords | 肥満 / 脂肪細胞 / 前駆脂肪細胞 / 増殖因子 / 前駆脂肪細胞増殖因子 / 細胞分化 / 細胞増殖 / カロテノイド |
Research Abstract |
肥満は各種の現代病の誘発原因のひとつであり、その成立には前駆脂肪細胞の増殖と前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の両過程が極めて重要であることが判明した。さらにこの脂肪細胞形成を促進、抑制の両面から制御する内因性因子が存在し、これらが摂食条件や運動などの状況に由来する刺激によって血中へ分泌されると考えるに至った。本研究においては、肥満形成を支配する脂肪細胞形成因子類の精製、単離、構造決定を行い、摂食条件をはじめとする環境要因と本因子類の生体内動態を明らかにし、環境要因と肥満成立との関係に具体的な情報と指針とを提供するとともに、本因子類の作用を人為的に制御することによって積極的な肥満防止、健康維持・増進への方策を拓こうとするものであって、本年度は以下のような成果を得た。 脂肪細胞のモデルとして3T3-L1及びOb1771細胞を用い、その増殖因子を検索する目的で、完全に組成の明らかな無血清培地を確立した。これを用いてラット脂肪組織中に前駆脂肪細胞の増殖を特異的に促す分子量約2万のタンパク性因子が存在することを見いだし、前駆脂肪細胞増殖因子と命名した。ラットを用いた摂食実験から、本因子は、in vivoでも脂肪細胞形成に極めて重要な役割を果していると考えられた。また、ウシ脂肪組織より本因子を大量精製し、その部分構造を決定したところ、既知の増殖因子とは全く異なるものであることが判明した。一方、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化過程においては、その初期に、IGF-Iやリポ蛋白リパ-ゼの発現が認められ、分化誘導に対する重要性が示唆された。また、脂肪細胞への分化過程は、脂溶性ビタミンやカロテノイド類によって強く抑制され、カロテノイドの作用点が脂肪細胞のpost-confluent mitosisの過程であることを見いだした。このことは、肥満成立の制御法の開発に新しい視点をもたらすものである。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] T.Tawada: "Proliferation of 3T3-L1 preadipocytes in a completely defimed serum free medium。" Cell Biol.Int.Rep.14. 567-574 (1991)
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[Publications] T.Tawada: "Comparative investigation of vitamins and their analogues on terminal differentiation,from pheadipocutes to adipocytes,of 3T3-L1 cells." Comp.Biochem.Physiol.96A. 323-326 (1991)
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[Publications] N.Aoki: "Protein factor obtained from rat adipose tissue specifically permits the prolifetarion of the 3T3-L1 and Ob1771 cell lines." Biochem.Biophys.Res.Commun.171. 905-912 (1991)
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[Publications] T.Kawada: "Intake of sweetner and pungent ingradients increases the thermogenin content in brown adipose tissue of rat." J.Agric.Food.Chem.39. 651-654 (1991)
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[Publications] N.Aoki: "Preadipocyte growth-promoting activity in adipose tissue of various mammalia." Agric.Biol.Chem.55. 2409-2411 (1991)
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[Publications] R.Kawai: "Involvment of phosphoinositol-glycan in induction of differentiation,from preadipocytes to adipocytes,3T3-L1 cells by insulin-like growth factor I." Agric.Biol.Chem.55. 2801-2806 (1991)
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[Publications] T.Kawada: "Obesity:Dietary factors and control" Japan Sci.Soc Press/S.Karger., 272 (1991)