1990 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外分光分析法による脳機能の評価法の確立とその臨床的応用
Project/Area Number |
02557014
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中川 八郎 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (20029937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 通之助 島津製作所, 科学計測機器研究所, 所長
南野 壽重 大阪大学医学部, 講師 (70028546)
永井 克也 大阪大学, たんぱく質研究所, 助教授 (70029966)
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Keywords | 近赤外分光 / 脳 / シトクロ-ム酸化酵素 / ヘモグロビン / 虚血 / 2ーデオキシーDーグルコ-ス |
Research Abstract |
ペントバルビタ-ルにて麻酔状態に陥らせ、笑気で麻酔状態に維持したラットの気管に挿管し、強制呼吸下に大腿動脈及び大腿静脈にカテ-テルを、側脳室にカニュ-レをそれぞれ挿入し、試作した生体用酸素モニタ-装置を使用して頭部における近赤外光(600ー1000nm)の吸収を測定することによって、ヘモグロビンの酸素化型、脱酸素化型及びシトクロ-ム酸化酵素の酸化還元状態を検討した。1)先ず、脳の虚血状態での変化を検討するために、予め両側の総頚動脈と脊椎動脈に結紮用の糸を掛けておいて、それらを全て結紮し脳への血流を遮断するプルシネリ法を行うと血流にはほとんど変化が認められないが、予想どうりヘモグロビンの脱酸素化型の増加が認められた。2)次に、脳のエネルギ-に必須なグルコ-スの利用を阻害する2ーデオキシーDーグルコ-ス(2DG)を側脳室内に投与し、脳にエネルギ-欠乏状態を引き起こした時のシトクロ-ム酸化酵素の酸化還元状態を検討した。2DGを脳内に投与すると血中の酸素分圧及び二酸化炭素分圧の変化なしにシトクロ-ム酸化酵素の電子伝達に関わる銅(Cu_A)の還元型が増加した。この時同時に心拍数及び血圧の低下も認められたが、保温することによって、これらは、ほぼ、消失した。しかしながら、シトクロ-ム酸化酵素のCu_Aの還元型は保温しても変化しなかった。また、2DGの脳内投与によるシトクロ-ム酸化酵素の還元型の増加には時刻依存性があり、12時間毎の明暗周期下で飼育したラットでは暗期よりも明期にこの反応は強く出現した。そこで、これらのシトクロ-ム酸化酵素のCu_Aの還元型の増加が脳神経の如何なる変化を反映するのかについても、今後検討したいと考えている。
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[Publications] 鐙 連太郎、ほか: "2ーデオキシーDーグルコ-ス投与によるラット脳内シトクロ-ム酸化酵素の変動ー近赤外分光法による無侵襲的計測ー" 生化学. 63. 605 (1990)
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[Publications] 鐙 連太郎、ほか: "生体機能画像診断を目的とした近赤外CT装置(NIRCT)の開発" 脳循環代謝. 2. 57 (1990)
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[Publications] 江田 英雄、ほか: "光CTのための基礎検討" 医用電子と生体工学. 28. 514 (1990)
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[Publications] 鐙 連太郎、ほか: "チトクロ-ム酸化酵素のラット頭部における生体計測から推定されるCu_Aの生理的意義と、近赤外線CT装置の開発状況" 生体エネルギ-研究会 第16回討論会講演要旨集. 46-47 (1990)
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[Publications] R.Abumi et al.: "Imaging of rat brain under ischemic condition by near infraーred computed tomography" Neuroscience Letter.
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[Publications] R.Abumi et al.: "Timeーdependent reduction of the copper band of cytochrome oxidase indued by centrally administered 2ーdeoxyーDーglucose in vivo." Brain Research.