1992 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外分光分析法による脳機能の評価法の確立とその臨床的応用
Project/Area Number |
02557014
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中川 八郎 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (20029937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 通之助 島津製作所科学計測機器研究所, 所長
南野 壽重 大阪大学, 医学部, 講師 (70028546)
永井 克也 大阪大学, たんぱく質研究所, 助教授 (70029966)
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Keywords | 近赤外分光 / 脳 / ヘモグロビン / シトクローム酸化酸素 / 虚血 / CT装置 |
Research Abstract |
平成4年度は780、805と830nmの3つの波長の光源を持つ近赤外線CT装置を用いて以下の検討を行った。1.ファントムによる検討。吸収物質としての色素、散乱物質のカオリンとシリコンラバー樹脂からなる吸収の等しい一辺が10mmの4つのファントムと吸収の異なる1つのファントムのCT像を780nmと805nmの光源を用いて測定したところこの両者の区別が出来たので、このCT装置の解像度は10mm以下であることが判明した。2.ラット腹部の測定。麻酔下で気管挿管し、強制呼吸下にあるラットの腹部の2次元像を780nmの光源で撮影すると腹部と頭部に近赤外光の吸収が強いことが明かとなった。そこで、腹部のCT像を測定したところ、表面反射と周辺強調効果により細部が明かではなかった。そこで、780nmと805nmの波長の光の吸収度差による画像構成の2波長法を以下使用し、これらのアーティファクトを除去することとした。この2波長法を使用して、肝臓の左葉に出入りする血管を結紮し、その他の部分の血液をヘモグロビンを含まない代用血しょう(FC-43)にて置換した時の肝臓左葉の描出に成功した。3.ラット頭部の測定。上記の2波長法を使用して、Pulsinelli and Brierleyの方法にて虚血状態にある頭部の左右の筋肉並びに脳の描出に成功した。骨などのそれ以外の組織は虚血により吸収の低い領域として描出された。ところで、脳は通常グルコースを唯一のエネルギー源として要求する。そこで、脳のエネルギー欠乏状態を引き起こすために低酸素及びインスリン低血糖の効果を検討した。麻酔下、強制呼吸下にあるラットの血液を代用血しょうに置換し、吸気中の酸素を100%から30%に低下させ、インスリン40単位を投与し、805nmと830nmの波長の光の吸収度差による画像を構成することによりラットの頭部の筋肉と脳を描出することが出来た。しかしながら、測定値の絶対化にまで至らなかったことを反省している。
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[Publications] M.Takada et al.: "Monitoring of tissue oxygenation metabolism by NIRCT" Photomedicine and Photobiology. 13. 25-29 (1991)
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[Publications] 鐙 連太郎ほか: "近赤外線半導体レーザー光照射の中枢神経への影響:新生児ラット小脳における組織学的評価" 第12回レーザー医学会大会論文集. 12. 211-214 (1991)
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[Publications] 鐙 連太郎ほか: "近赤外線CTによる生理機能情報の画像化" 代謝. 29. 370 (1992)
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[Publications] 永井 克也ほか: "近赤外光による生理機能の画像化" 生産と技術. 44. 50-53 (1992)
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[Publications] 永井 克也ほか: "近赤外線CT装置による生体機能画像化" 病態生理. 12. 49-56 (1992)