1992 Fiscal Year Annual Research Report
形状記憶合金による一時血流遮断クリップの試作とその実用化試験
Project/Area Number |
02557054
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
岩渕 隆 弘前大学, 医学部, 教授 (20004567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大川 淳 東北大学, 素材工学(児選鉱製錬)研究所, 助手 (00006032)
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Keywords | 血流遮断 temporary interruotion of hlood-stream / 記憶合金 shape memory allov / 一時クリップ temporary clip / 脳血管手術 cerebral vascular surgery / 手術器機 surgical instrument |
Research Abstract |
形状記憶合金は、予め記憶温度に於ける熱処理に依って或る形状を記憶させ、室温で任意の形状に加工し、変形温度にすれば、予め記憶して居る形状に復帰する。更に最近の進歩のよる2方向形状記憶合金を利用すめば、室温に戻す事により、記憶形状への変形直前の形状に変形可能となった。此の現像を利用して一時血流遮断クリップの試作に努めて来た経緯に就いては、前回報告した。前回には、実用の形状とは一致しないが、諸要目例えば締狭力の測定、直接通電による過熱に必要な電流の測定などに適する形状のクリップを試作した所迄報告した。 此の原形を用いて各種要目を測定した結果、締狭力200gmを得る事が出来、此の価は当初計画した170gmを十分満足するものであった、然し其の際に要した電流は40〜50Ampで、此の価は予想外に大であった。其の為生体に与える影響を極力少なくする為、絶縁その他に思いがけず、配慮せざるを得なくなった。 そこで、変形し難い耐熱性のプラスチックFel-F(テフロン糸)を一部に用いて各種の要目の測定を行ない、実用クリップ試作の諸元を集積する事に努めた。原材料入手元の企業計画の為、生産が一時中止された為、クリップの開発も予測外に遅滞させられた。 そこで、此の間を利用し使用材料が生体の頭蓋内に留置した際の影響を動物実験によって検討した。体重平均7.4kgの雑種成犬20頭を用い、ラボナール25〜30mg/kgによる静脈麻酔を行い、復臥位に固定し、開頭して、上述の合金及びプラスチック片各1gmをクモ膜下腔に挿入、2周後再開頭して、挿入物の周囲を観察したが、肉眼的、顕微鏡的何れも異常所見無く、初回手術後のイヌの行動にも異常は無かった。 其の後クリップの小型化、実用形化に努めて居の所である。目的に到達次第、脳神経外科関言の学術誌上に公表の予定である。
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