1990 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原性細菌の遺伝子解析に基づく歯周病の予防・診断・治療法の開発
Project/Area Number |
02557073
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
吉村 文信 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (50001962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中垣 晴男 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (10097595)
尾関 正美 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (80090124)
小佐野 悦雄 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (80110998)
日比 栄子 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (50097606)
小林 やす子 愛知学院大学, 歯学部, 助教授 (20064818)
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Keywords | 歯周病原性細菌 / 線毛 / 遺伝子クロ-ニング / 線毛の形態形成 / ポルフィロモナス・ジンジバリス / 発現ベクタ- |
Research Abstract |
成人性歯周炎の有力な原因菌であるPorphyromonus(Bacteroides)gingivalis(以下本菌)の保有する線毛の遺伝子群を解析する。この結果に基づき、歯周病の予防・診断・治療法の開発に寄与することを目的としている。〔方法〕本菌の線毛は43K蛋白質によって主に構成されている。しかし、これ以上の微量成分で存在する可能性も考えられる。43K蛋白質はクロ-ン化され、塩基配列が決定されている。この線も遺伝子(fimA)の上流,下流に線毛の形態形成に関与する遺伝子群が存在すると考えられる。これら歯伝子の解析によって、本当に重要な付着成分が同定される可能性も高い。fimA遺伝子を中心に,約10.5kbのDNA断片がクロ-ン化されている。上流に63K蛋白質遺伝子,下流に50K,さらに80K蛋白質を支配する遺伝子が存在することが判明した。こうした事実は、バクテリオファ-ジT7のRNAポリメラ-ゼを持った発現ベクタ-によって初めて可能となった。発現ベクタ-によって増産された本菌DNA由来の蛋白質が、いかなる役割をはたしているのかを明らかにするため、まず蛋白質を精製し、特異抗体の調製をおこなう。さらに、特異抗体をプロ-ブとして、蛋白質の本菌における役割をさぐっていく。〔結果〕まず63K蛋白質,50K蛋白質(実際には45K蛋白質として)を精製した。さらにこの蛋白質に対する特異抗体を家兎にて調製した。この抗体を使って調べたところ、線毛標品中に存在する微量成分(分子量は約50K)に50K蛋白質に対する抗体が結合することが明らかとなった。これはイムノブドロット法によって判明した。すなわちfimA遺伝子の下流に位置する50K蛋白質遺伝子は、線毛を構成する微量成分を支配する遺伝子であることを強く示唆している。〔今後の展望〕塩基配列の決定は、まだ完成に至っていない。今後、この面における進展が必要と考えている。
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