1990 Fiscal Year Annual Research Report
生体試料中ポリアミンの一斉分析に適した手法の開発と悪性腫瘍診断への応用研究
Project/Area Number |
02557106
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
亀井 幸子 東京大学, 医学部, 講師 (40107503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三谷 勝男 徳山曹達株式会社, 酵素化学, 研究員
木下 健二 東京都立駒込病院, 泌尿器科, 部長
岩崎 憲太郎 東京都臨床医学総合研究所, 医化学, 部長
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Keywords | ポリアミン / HPLC / 一斉分析 / 酵素リアクタ- |
Research Abstract |
遊離ポリアミンおよびそのアセチル誘導体計9種の一斉分画測定を行うために高速液体クロマトグラフィ-に酵素リアクタ-および電気化学検出器をつないだ系を開発した。分離部はオクタデシルポリマ-系カラムを使用した逆相イオンペア分離法で、中性溶離液によるアイソクラティックな溶出が可能である。検出部は固定化酵素リアクタ-(アシルポリアミンアミドヒドロラ-ゼによるアセチル体の水解、ポリアミンオキシダ-ゼ、プトレシンオキシダ-ゼによる遊離ポリアミンの酸化)および生じた過酸化水素を定量する電気化学検出器からなっている。次に本法による尿試料の直接分析を試み、弱酸性イオン交換樹脂を用いたミニカラムによる尿の前処理を行い、ポリアミンの明確な分離、リテンションタイムからに各成分の同定を可能にした。内部標準としては、1,6ージアミノヘキサンを使用した。また精度はおおむね良好であり、収率もアセチルプトレシン以外は満足すべきものであった。そこで、実際の患者尿について本法により尿中ポリアミンの定量を行った。種々の疾患の患者尿を分析した結果、尿中ポリアミンの増加は、悪性腫瘍のほか炎症性疾患を含む種々の疾患で認められ、また遊離ポリアミンを多く含む症例や、従来ほとんど無いとされていたスペルミンをかなり高率に含む症例など、健常者には認められないパタ-ンを示す症例が見受けられた。さらに、駒込病院泌尿器科で治療を受けた腎癌の患者の尿を連日にわたって採取し、各日毎の尿中ポリアミンを分画測定した結果、腎癌摘出に先だって行われた腎動脈塞栓術、および腎摘出後に、尿中へのポリアミンの排泄の増加があり、その主成分はアセチルプトレシンであった。増加したポリアミン値は徐々に減少し、術後7日目には治療前よりも低い値となっていた。このように本法によるポリアミンの分画測定が、ポリアミンの代謝や病態解析に有用な手段になり得ることが示唆された。
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[Publications] 平松 恭子,岩崎 憲太郎,杉本 雅幸,亀井 幸子: "HPLCと酵素reactorによるpolyamine分析の改良と応用" 生化学. 62(7). 634-634 (1990)
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[Publications] S.Kamei,K.Hiroamatsu,M.Sugimoto,K.Kinoshita,K.Iwasaki: "An improved method of determining free and acetylated polyamines by HPLC involuing an enzyme reactor and and application to clinical specimens" Proc.1990international symposium on polyamines in molecularand medical biology.92-93 (1990)
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[Publications] K.Hiramatsu,M.Sugimoto,S.Kamei,K.Kinoshita,K.Iwasaki: "Application of the inproved HPLC method to the determination of polyamines and acetylpolyamines excreted in urine." Proc.1990international symposium on polyamines in molecular and medical biology. 154-155 (1990)
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[Publications] S.Kamei,K.Hiramatsu,M.Sugimoto,K.Kinoshita,K.IWasaki: "Simultaneous determination of free and acetylpolyamines in urine of patients with renal cancer" XVI World Cougress of Anatomic and Clinical Pathology. XVI. (1991)