1990 Fiscal Year Annual Research Report
活性化血小板を認識するモノクロ-ナル抗体およびその誘導体による血栓症治療法の開発
Project/Area Number |
02557115
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
田上 憲次郎 東京都臨床医学総合研究所, 循環器病研究部, 部長 (30014137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩佐 進 武田薬品工業株式会社, 研究開発本部・生物工学研究所, 主任研究員
藤本 司 昭和大学, 藤が丘病院・脳外科, 助教授 (60014180)
鈴木 英紀 東京都臨床維学総合研究所, 循環器病研究部, 研究員 (30158977)
赤松 紀子 東京都臨床医学総合研究所, 循環器病研究部, 研究員 (30124431)
山崎 博男 東京都臨床医学総合研究所, 副所長 (50013826)
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Keywords | 活性化血小板 / モノクロ-ナル抗体 / 実験的血栓 / GMPー140(PADGEM) / 線維素溶解能 / ウロキナ-ゼ / 血小板凝集 / 二重特異性モノクロ-ナル抗体 |
Research Abstract |
活性化血小板に特異的に結合するモノクロ-ナル抗体2T60の対応する抗原を検索した結果、ヒト血小板では分子量が135kDa(非還元),145kDa(還元)であり、また本抗原のN末側のアミノ酸配列はWTYXYSTKAYSであることから、血小板のα顆粒膜のGMPー140(PADGEMとも呼ばれる)と一致することが解明された。本抗体は家兎のトロンビン活性化血小板とも反応するが,家兎血小板における本抗体の対応抗原は分子量が115kDa(非還元),138kDa(還元)であった。免疫電顕的にヒト血小板への本抗体の結合を検討すると,静止血小板ではα顆粒膜に沿って分布し、トロンビン刺激後の血小板では表面膜に分布した。あらかじめ、家兎に本抗体を静脈内投与し、ついで内頸動脈にアラキドン酸を注入して中大脳動脈領域に血栓を実験的に形成すると、血栓に取り込まれた血小板は抗マウス1gGにて免疫染色され、血栓に取り込まれた血小板は活性化されていることを証明した。2T60抗体をUrokinase(UK)で免疫したマウス脾細胞と融合して、GMPー140とUKの双方にbispecificなモノクロ-ナル抗体UP4ー33の作成に成功した。UP4ー33はUKに結合するが、その酵素活性を阻害しないことを確認した。またUKに結合しても活性化血小板との結合力は変化しなかった。UP4ー33をあらかじめ種々のモル比のUKと結合させ、これに多血小板血漿または乏血小板血漿を加えて混合した後、トロンビンにより凝固させ、経時的に上清中のFDPを測定して溶解能を検討すると、多血小板血漿を用いたときは、その溶解能はUP4ー33の非存在時に比して3ー5倍に促進されたが、乏血小板血漿を用いた時はかかる促進は認められなかった。このことはUP4ー33抗体が多血小板血漿中の活性化血小板へのtargetingによるUKの集中が生じたものと考えられた。またUP4ー33抗体とUKを同時に添加することにより、UKのみの添加に比して多血小板血漿のADPによる凝集の解離を有意に促進した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Suzuki.H..KinloughーRathbone,R.L.Packham.M.A.Mustard.J.F.Tanoue.K..Yamazaki.H.: "Localization of fibrinogen during ADPーor thrombinーinduced aggregation of washed rabbit platelets." J.Histochem.Cytochem.38.869-874 (1990)
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[Publications] Yamaguchi A..Tanoue.K.,Yamazaki.H.: "Secondary signals mediated by GPIIb/IIIa in thrombinーactivated platelets." Biochim.Biophys.Acta.1054.8-13, (1990)
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[Publications] Suzuki.H.,Katagiri,Y.,Tsukita.S.Tanoue.K.,Yamazaki.H.: "Localization of adhesive proteins in two newly subdivided zones in electronーlucent matrix of human platelet αーgranules." Histochemistry.94,. 337-344, (1990)
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[Publications] Katagiri.Y.,Hayashi,Y.,Yamamoto.K.,Tanoue,K.,Kosaki,G.,Yamazaki.H.: "Localization of von Willebrand factor and thrombinーinteractive domains on human platelet glycoprotein Ib." Thromb.Haemostas.,. 63.122-126, (1990)
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[Publications] Yamamoto,N.,Greco,N.J.,Barnard.M.R.,Zain,B.Tanoue,K.,Yamazaki,H.,Jamieson,G.A.: "GPIbーdependent and GPIbーindependent pathways of thrombinーinduced platelet activation." Blood,. in press (1991)
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[Publications] 田上 憲次郎,赤松 紀子: "流血中の活性化血小板をいかに把握するか." 病理と臨床.8. 555-559, (1990)
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[Publications] 田上 憲次郎、片桐 康博: "血小板異常症(蛋白質常症を含む).新版日本血液学全書別巻:分子血液学(柴田 昭、花岡 正男編)," 丸善,11 (1990)