1991 Fiscal Year Annual Research Report
デュアル・イノベ-ション下の企業戦略・労使関係・労働者の実証的研究
Project/Area Number |
02610094
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Research Institution | SENSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
柴田 弘捷 専修大学, 文学部, 教授 (80103414)
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Keywords | デュアル・イノベ-ション / リストラクチュアリング / 日本的経営 / 日本的雇用慣行 / 日本的能力主義 |
Research Abstract |
日本経済は1987年ごろより80年代の不況を脱して好景気を維持してきたが、昨年半ばから景気にかげりが見え始めた。本年度の研究はこの景気後退の気配が見え始めるなかで進められた。 本年度も、昨年度に引き続き従来の調査研究の批判的検討を続けるともに、鉱業、化学産業、鉄鋼業、電機・電子産業の工場で、リストラクチュアリングを中心とする企業戦略、雇用・労務管理の変化と現状、労働組合の情況、労働者の労働状態の実態調査を行った。 各産業・企業・工場は景気後退の気配のなかで、従来製品の高品質化を進めるとともにハイテク部門を中心とした異業種部門への進出を積極的に進めていた。例えば、高品質化については、鉄鋼業ではステンレス箔、電子産業では4メガ、16メガICへの高集積化、鉱業では金鉱山の開発と新製品開発、等が見られた。また、異業種への進出については、電子およびソフトウェア部門(鉄鋼)、シルバ-産業(鉄鋼、石炭)、医薬品(化学)、レジャ-産業(鉄鋼)、等への進出が見られた。 また、各企業・工場は製造工程のME化(FA)を中心とした自動化・フレキシビリティ化・省力化を進めるとともに、中高年齢層の排出を中心とした出向・転籍による従業員構成のスリム化が行われている。昇進・昇格管理においては、「日本的能力主義」管理が一層強化され従業員の選別が進んできている。しかし、新たな「日本的経営」の柱の一つであったQC活動についてはやや反省の傾向が見られた。 今後は、本研究の成果をもとに、「日本的能力主義」管理の性格と実態についてのさらなる実証的研究を進めていく予定である。
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Research Products
(1 results)