1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02640508
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
滝 明夫 京都大学, 理学部, 助手 (30025340)
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Keywords | 産卵抑制 / 産卵能 |
Research Abstract |
1。日本産アリ類各種の産卵能の一指標として、卵巣小管数を調べ61種(ハリアリ亜科10、フタフシアリ亜科21、ルリアリ亜科4、ヤマアリ亜科27)の資料を蓄積した。女王の最少はウロコアリ類の2、最多はアメイロケアリの200以上であった。職蟻に対する産卵抑制の程度が明確となった。 2。産卵能のもうひとつの指標である卵サイズについて38種の資料を得た。体の大きな種は卵も大きいが相対重はむしろ小型化していた。卵の小型化は卵巣小管数の増加ともかなり対応しており、小卵多産化の傾向がみられた。今後はコロニ-サイズ、増殖様式、単雌多雌などの諸性質との対応関係の検討を行うこととした。 3。卵をめぐる諸性質に的を絞って飼育資料のとりまとめにはいった。メクラハリアリ、オオハリアリの若令幼虫の生長は繁殖卵への食卵に依存しており、随時採食給餌型の種では、卵が栄養源の保証としても重要であることが判かった。トゲオオハリアリでは職蟻のうち順位第1位のみが産卵可能だが、産下直後に女王が食卵し、雄生産を阻止していた。コロニ-創成時のケアリ類アメイロアリ類の栄養卵の寄与を生物経済的に検討した。 4。マルピギ-氏管数についても700個体以上63種の資料を得た。幼虫20種はすべて4であり、成虫のそれは亜科により傾向が異なった。ハリアリ亜科では、雄、女王、職蟻とも同数だが、その種の体サイズに対応して数は変化する。フタフシアリ亜科は種内は同数だが体サイズとの相関は認められず小型種で4、中大型種で5に固定していた。カタアリ亜科ヤマアリ亜科では種内で異なるが、種を通じてみると、体サイズに対応していた。これらの傾向はアリ類の二大系統PoneroidとFormicioidを論ずる場合の一資料として使えそうである。
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