1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02640510
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
山岡 亮平 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (00111948)
|
Keywords | 社会性昆虫 / アリ / 同巣認識 / コロニ-臭 / 体表炭化水素 / 化学生態学 |
Research Abstract |
動物、中でも特に社会性昆虫(アリ)における同種の認知、さらに血族認識(Kin Recognition)は、その社会の成立にとって最も重要な問題である。この問題は古くより人々の関心を集め、数多くの生態学的、行動学的研究がなされてきたが、その本質を的確に捉えた研究は無い。ここ数年間にわたる我々の野外および実験室内における観察の結果、これらの認識にアリの体表に存在する接触化学物質が関係している可能性が明らかになりだした。 本研究はアリを研究材料とし、種および血族(同巣)の認知に体表炭化水素が関与していることを生物検定とさまざまの分離、分析結果を基に明らかにしたものである。以下に今年度に本研究で明らかになった結果とその過程をまとめておく。 (1)体表炭化水素組成化(CHP)の統一性に女王アリの存在が重要な意味を持っていることを明らかにした。女王アリを除去したコロニ-では働きアリ間のCHPの統一性は失われ、それは再度女王アリを戻してやる事により取り戻すことが出来た。 (2)(1)における女王アリのCHP統一についての役割が、働きアリ達を集合させる核になることである事を明らかにした。 (3)女王アリを欠くコロニ-でも、狭いところに多数の働きアリを閉じ込め集合状態を無理に作り出すことによって、CHPの統一は可能であった。しかし女王アリの存在しているコロニ-よりそのプロフィ-ルは短期間に大きく変化した。 (4)集合現象を起こさせる一つの要因としてアリの頭部の後部咽頭腺内にある高沸点炭化水素の存在が示唆された。
|