1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02640526
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
遠山 鴻 愛媛大学, 理学部, 助教授 (90036418)
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Keywords | 酵母 / Saccharomyces cerevisiae / 金属耐性 / カドミウム / 銅 / メタロチオネイン / CUP1 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
酵母、S.cerevisiaeのメタロチオネイン(以下MTと略す)の生成は、銅耐性株では銅でのみカドミウム耐性株ではカドミウムと銅によって誘導される。また、両耐性株がそれぞれ生成するMTは、結合している金属が異なるだけで、タンパク質部分は全く同じと考えられる結果を得ている。すなわち、両耐性株のMTの構造遺伝子は同一で同じタンパク質を作るが、その遺伝子の発現誘導にはそれぞれの金属に特異的な機構があると推定される。そこで、本研究では酵母のMT遺伝子の金属に特異的な転写の調節機構について調べた。 1.カドミウおよび銅耐性酵母株のMT遺伝子の比較 カドミウム耐性株のゲノムDNAからMTの構造遺伝子をクロ-ニングし、その制限酵素地図を調べた結果、すでに銅耐性株で報告されているCUP1遺伝子と同一であると確認した。すでに得られている結果と合わせて考察すると銅耐性株ではMT遺伝子は第8染色体に増幅されて約10コピ-存在しているが、カドミウム耐性株では同じ遺伝子が第8染色体だけではなく複数の染色体にわたって数コピ-増幅されて存在していると考えられる。 2.金属に特異的な発現誘導機構の存在確認 カドミウム耐性株からクロ-ニングしたMT遺伝子で金属感受性株を形質転換した株は、銅耐性は示したがカドミウム耐性は示さなかった。さらに、CUP1遺伝子のプロモタ-部分と大腸菌のlacZ遺伝子の融合プラスミドによる形質転換株と、カドミウム耐性株を接合した2倍体株に、カドミウムを作用させるとβガラクトシダ-ゼの活性を示した。これらの結果から、カドミウム耐性株はMTの構造遺伝子は銅耐性株と同じであるが、その発現調節タンパク質、さらにはその遺伝子がカドミウムでも誘導されるように変異した株であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] H.Tohoyama,M.Inouhe,M.Joho,T.Murayama: "Resistance to cadmium is under the control of the CAD2 gene in yeast Saccharomyces cerevisiae" Current Genetics. 18. 181-185 (1990)
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[Publications] M.Inouhe,A.Inagawa,M.Morita,H.Tohoyama,M.Joho,T.Murayama: "Native cadmiumーmetallothionein from the yeast Saccharomyces cerevisiae:its primary structure and function in heavyーmetal resistance" Plant Cell Physiology.