1991 Fiscal Year Annual Research Report
強力な微生物起源新オ-キシンの合成とその難増殖・難再分化針葉樹カルスへの応用研究
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02660128
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
佐々 武史 山形大学, 農学部, 教授 (80023456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻山 紘一 山形大学, 農学部, 教授 (60038239)
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Keywords | アクレモオ-キシン / スギカルス / 2ー(インド-ル)プロピオン酸 / 植物成長阻害 |
Research Abstract |
新規なオ-キシン物質の開発は、資源植物とその培養細胞の増殖・分化・成長を制御する上で、重要な課題の一つと考えられる。本研究では、昨年度に引き続き、筆者らが見いだした微生物起源新オ-キシン物質アクレモオ-キシンA(AAーA)の関連物質である1ー0ー[(3ーindolyl)acetyl]ーDーarabitolの合成を行い、関連物質の構造を明らかにすると共に、アクレモオ-キシン類についてスギカルスの誘導と増殖に対する効果およびハクサイ、イネ等の芽生えに対する成長阻害効果を調べ、次のような新知見と研究成果を得た。 1.AAーAの関連化合物は、Dーマンニト-ルから調製したアラビト-ルー2,3:4,5ージアセトニドとインド-ル酢酸を、触媒の存在下DCCで縮合させ、次いで脱保護することによって合成し、融点150〜151℃の結晶として得た。得られた化合物のHPLC、MS(テトラアセテ-ト)および ^1HーNMRは、AAーAと共に得られた関連天然物(AAーB)とよく一致した。本物質はトリプトファンを添加した培養法により、多く生産された。 2.スギ針葉切片からのカルスの誘導と増殖について調べた結果、アクレモオ-キシン類ではインド-ル酢酸同様カルス誘導は認められたが、その増殖効果は弱いものであった。一方、合成オ-キシンの2,4ーDやNAAではスギカルスの著しい増殖が観察され、その増殖は2倍体よりも3倍体品種において良好であった。 3.AAーAおよび2ー(インド-ル)プロピオン酸(IPA)の光学異性体について、ハクサイ、ダイコン、イネ、ムギ等の芽生えに対する作用を調べた結果、成長阻害作用はAAーAよりIPAが強く、後者の光学異性体間では多くで(+)ー体の作用が強かったが、ダイコン、イネでは逆に(-)ー体が強いという面白い結果を得た。
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