1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02660268
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 和雄 東北大学, 農学部, 助教授 (60091831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄司 芳男 東北大学, 農学部, 助手 (60005642)
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Keywords | ニホンジカ / 消化機能 / 季節性 / 消化管内滞留時間 / 飼料消化率 |
Research Abstract |
最近のわが国における養鹿産業の発展にともない、ニホンジカを食肉動物として飼育する試みが行われている。しかし、シカ類の採食量、体重増加および繁殖周期にみられる季節性の克服は、将来における鹿肉の安定供給にとって重要な課題になると思われる。今回の実験では、ニホンジカの消化機能の季節変動を検討するために、アルファルファ・ヘイ・キュ-ブの自由採食量、染色飼料の消化管内通過速度、各飼料成分の消化率を1年間にわたって測定した。 実験には、去勢雄ニホンジカ5頭を用いた。5月、8月、11月、2月のそれぞれ一ケ月間、毎朝9時にアルファルファ・ヘイ・キュ-ブを水と共に給与し、給与20日目にブリリアント・グリ-ン染色飼料(給与飼料の4%)を追加給与した。その翌日から10日間、24時間間隔で採食量の測定と糞の採取を行い、染色飼料片の消化管内平均滞留時間と飼料消化率を測定した。 その結果、1.代謝体動当りDM摂取量は5月から11月にかけて高く維持されたが、2月に有意に低かった。2.消化管内滞留時間は、5月のみが有意に短かった。3.DM,OM,ADFおよびNDFの4つの飼料消化率は11月が最も高く、5月に最も低くなるという順位に有意性が認められた。その中でも、11月のADF消化率は5・8月より有意に高く、2月は5月より有意に高かった。また、ADF消化率は、消化管内滞留時間とは正の、DM摂取量とは負の、有意な相関を示した。 以上の実験結果は、ニホンジカでは、1.冬に採食量が大きく低下すること、2.秋に採食量が多いにもかかわらず高い消化率を維持すること、を示しており、従来の反芻家畜とは異なる消化機能上の特徴が示唆された。
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[Publications] 小田島 守: "制限給餌下におけるニホンジカおよびヒツジの消化管内通過速度および消化率の季節変動" 日本畜産学会誌. 62. 306-311 (1991)
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[Publications] Katoh,K.: "Passage and digestibility of lucerne hay in Japanese sika deer and sheep under ristricted feeding" British Journal of Nutrition.
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[Publications] Fujita,H.: "Seasonal variations of feed intake,cligestibility and passage rate in Japanese sika deer" British Journal of Nutrition.