1990 Fiscal Year Annual Research Report
食細胞の産生する活性酸素種の同定とその殺菌効果について
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02670176
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上野 郁子 東京大学, 医科学研究所, 助手 (60012738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金ケ崎 士朗 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10012767)
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Keywords | 好中球 / ス-パ-オキシド / ヒドロキシラジカル / PMA / チモ-ザン / ESR / スピントラップ / 8ーハイドロキシグアニン |
Research Abstract |
豚好中球をPMA又はオプソニン化チモ-ザンで剌激し,ヒドロキシラジカル( ^・OH)が生成されるか否かを以下の方法でしらべた。(I)ESRスピントラップ法:DMPO(スピントラップ剤)を添加した等張緩衝液に縣濁した好中球にPMAを加え30秒後から経時的にESRスペクトルを記録したところ,O^-_2由来のDMPOーOOHのシグナルのみが観察された。チモ-ザン剌激の場合には,PMA剌激の場合と同様の手順でスペクトルを記録するとDMPOーOHのシグナルのみが観察された。しかし,反応液にあらかじめDMSOを加えておいても ^・OH由来のDMPOーCH_3のシグナルは観察されなかった。そこで好中球とチモ-ザンとをあらかじめインキュベ-トした後DMPOを加え直ちにスペクトルを記録したところDMPOーOOHのシグナルが現われ,これが急速にDMPOーOHのシグナルに置き替った。これらの成績から好中球はPMA剌激の場合にもチモ-ザン剌激の場合にもO^-_2を生成し ^・OHは産生しないことが示された。(II)デオキシリボ-ス(DR)の分解産物の比色定量法:DR存在下で好中球をPMA又はチモ-ザンとインキュベ-トした後反応液中のDR分解産物をTBA試薬を用いて比色定量したが,いずれの剌激剤を用いた場合にも結果は陰性であった。(III)DNA中の8ーOHグアニンのHPLCによる定量法:PMA又はチモ-ザンとインキュ-ベ-トした好中球を凍結乾燥した後DNA抽出,酵素的分解,HPLCを行い8ーOHグアニンを定量したが,いずれの剌激剤によっても好中球DNA中に8ーOHグアニンが増加することはなかった。以上(II)(III)の実験によって好中球は剌激によってO^-_2のみを生成し ^・OHは産生しないことが確かめられたほかsite specificにも ^・OHは産生されていないことがわかった。しかし,(IV)H_2O_2,鉄の存在下で好中球を剌激した場合には,上記(I)(II)のいずれの方法でも ^・OHの生成が確められた。
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[Publications] 上野 郁子・金ケ崎 士朗: "ESRスピントラップ法によるフリ-ラジカル測定法の原理と実際ー特に酸素ラジカルの測定について" 日本細菌学雑誌. 45. 653-663 (1990)
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[Publications] 上野 郁子他: "Characterization of neutrophil bーtype cytochrome in situ by electron paramagnetic resonance spectroscopy" FEBS Letters. (1991)