1991 Fiscal Year Annual Research Report
要介護老人のケアの形態を規定する要因並びに長期ケアニ-ズの評価に関する研究
Project/Area Number |
02670238
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
黒田 研二 大阪大学, 医学部, 講師 (70144491)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西垣 千春 大阪大学, 医学部, 助手 (40218144)
多田羅 浩三 大阪大学, 医学部, 教授 (20107022)
|
Keywords | 要介護老人 / 長期ケア / 入院医療 / 地域ケア |
Research Abstract |
大阪府M市(1989年人口12万人、70歳以上人口8,085人)において、老人の入院医療の需要の経年変化を分析した。1984年、1987年、1989年の6月の70歳以上の入院診療報酬明細書を分析対象とし、入院日をもとに6月1日時点で在院中の人と、6月中に新規に入院した人とに分けて、70歳以上人口100人当たり入院受療率、新規入院率を算出した。入院受療率は1984年3.56、1987年5.87、1989年5.72であった。1か月間の新規入院率には、5年間で増加傾向は見られなかった。性、年齢層別に入院受療率の推移をみると、いずれの年も男より女の受療率が高く、70歳代より80歳以上の受療率が高かった。6月1日時点での在院期間の分布を調べると、6カ月以上の在院患者割合は、1984年38.9%、1987年47.3%、1989年49.9%と増加する傾向がみられた。次に、入院の長期化の要因を探るために、性、年齢、保険の種類、医療機関の位置、医療機関の種類、脳卒中の有無、精神障害の有無別に、6か月以上在院患者の割合を算出し比較すると、6か月以上在院患者の割合に有意差がみられた項目は、性、医療機関の種類、脳卒中の有無、及び精神障害の有無であった。すなわち、脳卒中や精神障害をもつ患者では入院が長期化しやすく、女は男より長期化しやすいこと、長期在院患者の割合は公的病院よりも民営病院において高いことが明らかになった。本研究で行った老人入院医療の分析は全国いずれの市町村においても実施できるものであり、今後高齢者のケアシステムづくりの基礎資料として各市町村で整備していくことが望まれる。また、本年度、M市医師会員を対象に調査を行い、往診および病院と診療所との間での患者の紹介の現状を検討した(回答率70%)。回答をした82名の医師のうち24名が往診をしており90人の患者が往診の対象となっていた。患者紹介の流れでは、開業医から病院へ紹介されるケ-スが大部分を占めており、病院から開業医への紹介は少なかった。
|
-
[Publications] K Kuroda,K Tatara,T Takatorige,L Zhao, F Shinsho: "Factors Related to Longーterm Stay in Hospital by the Elderly in an Urban City in Japan" Age and Ageing.
-
[Publications] 黒田 研二,趙 林,岡本 悦司,高鳥毛 敏雄,新庄 文明,多田羅 浩三: "在宅要介護老人,病院長期入院老人,特別養護老人ホ-ム入所者の特性に関する比較研究" 日本公衆衛生雑誌.
-
[Publications] 黒田 研二,趙 林,高鳥毛 敏雄,新庄 文明,多田羅 浩三: "要介護老人の処遇場所に影響を及ぼす因子に関する研究" 社会医学研究. 11号. (1992)
-
[Publications] 黒田 研二,多田羅 浩三,趙 林,高鳥毛 敏雄,新庄 文明: "老人患者の入院長期化に影響を及ぼす要因に関する研究ー尿道カテ-テルの使用を中心にー" 日本衛生学雑誌.