1992 Fiscal Year Annual Research Report
糸球体硬化の発症および進展における腎細動脈の役割に関する研究
Project/Area Number |
02670379
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 健二郎 東京大学, 医学部(病), 助手 (00161555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 恭信 東京大学, 医学部(病), 助手 (70167609)
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Keywords | 腎臓 / 細動脈 / 糸球体硬化 / 血管鋳型標本 / 水腎症 / ラット / 腎亜全摘 / カルシュウム拮抗薬 |
Research Abstract |
1)ラット腎亜全摘モデルにおける薬物投与の効果と腎細動脈の関係。 アンジオテンシン変換酵素阻害薬の投与により糸球体硬化は軽減した。この時、全身血圧は低下し尿蛋白は減少した。腎細動脈の鋳型標本による検討では、輸入・輸出動脈共に高度に拡張していた。これに対してヒドララジンとトリクロールメチアジドの併用療法では血圧は充分に低下したにもかかわらず、糸球体硬化の進展を阻止しえなかった。細動脈は輸入、輸出共アンジオテンシン変換酵素阻害薬(カプトプリル)と同程度に高度に拡張していた。以上のことは、糸球体内の微小循環が糸球体硬化の進展に重要な役割を演じてはいるが、その他の要因も考慮する必要があることを示している。近年、Ichikawaらのグループが糸球体肥大と糸球体硬化の関係を提唱し注目されている。本研究では腎摘後早期と後期の糸球体肥大と糸球体硬化の関係を検討した結果、糸球体肥大と糸球体硬化に因果関係を示唆する所見は得られなかった。今後、糸球体硬化の発症・進展の機序を解明するためには、血行動態的な側面のみならず、各種の細胞増殖因子、細胞外基質の産生と制御といった分子生物学的なアプローチが必要であると思われた。 2)水腎症ラットによる腎細動脈の直視下の観察。平成3年度までに技術的問題を克服し、安定して長時間観察することが可能となった。従来はWistarラットやSDラットなど正常血圧ラットを使用してきたが、本年度は高血圧自然発症ラット(SHR)を用いた。SHRでは水腎症がやや出来難く、また輸入細動脈が収縮しているため観察が困難であった。しかし、これらの問題も、対物レンズを水浸レンズに変え、コンデンサーを工夫することにより克服した。塩酸マニジビン、ニフェジビン、ニソルジビンなどカルシュウム拮抗薬の投与により輸入細動脈が高度に拡張した。マニジビンでは輸出細動脈も有意に拡張した。
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[Publications] Kimura,K.,Tojo,A.,Matsuoka,H.,Sugimoto,T.: "Relationship between changes in arteriolar diameters and renal function in anti-glonerular basement menbrane nephritis." J.Clin.Electron Microscopy. 24. 890-891 (1991)
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[Publications] Tojo,A.,Kimura,K.Matsuoka,H.,Sugimoto,T.: "Effects of manidipine hydrochlolvide on the renal microcircnlation in spontaneously hypertonsive rats." J.Cardiovase.Pharmacol.20. 895-899 (1992)
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[Publications] Kimura,A.,Tojo,A.Hirata,Y.,Matsuoka,H.: "Morphometric anarysis of renal arterioles in subyotally nephreitomized rats." J.Clin.Lab.Med.