1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02670668
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
福田 宏明 東海大学, 医学部, 教授 (40051388)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 知隆 東海大学, 医学部, 助手 (90227794)
浜田 一寿 東海大学, 医学部, 講師 (70156397)
|
Keywords | 腱板 / 棘上筋腱 / 肩関節 / 張力試験 / バイオメカニクス / 腱板断裂 / 腱板不全断裂 |
Research Abstract |
目的:腱板断裂の発生メカニズムを確明するため棘上筋腱を用いて準静的引っ張り試験を行い生体工学的検討を加える。 対象と方法:20体の新鮮剖検屍体(年齢ー47〜81歳)の両肩より幅25mmの棘上筋腱を採取し試験片とした。引っ張り試験は速度0.17mm/secで行い、棘上筋腱にかかる張力変化を計測した。さらにCCDカメラにより棘上筋腱の挙動を画像記録した後、コンピュ-タ-処理により伸張変化を求めた。棘上筋腱は全幅をその厚さの中央で滑液包側と関筋包側の二層に分け、変位一荷重特性を検索した。さらに全長を近位筋腱移行部、中央腱部、および遠位付着部に三等分し、各部における伸張変化を比較検討した 結果:滑液包側は関筋包側に比較して最大荷重は約3倍であったが、弾性系数は有意に小さかった。また降伏点までの伸び率は関筋包側の方が小さかった。同一荷重における滑液包側と関筋包側各部の伸び率は、遠位付着部および近位筋腱移行部ではほぼ同様であった。一方中央腱部では滑液包側の伸び率が約2倍と有意な差を認めた。 考察:準静的引っ張り力に対して初期には関筋包側が反張力を発生するが比較的早く降伏点に達し、続いて滑液包側が棘上筋腱の張力を維持するものと思われた。また伸張変化に関しては滑液包側がより弾性に富んでおり、とくに中央腱部の伸び率は滑液包側と関筋包側において明らかな差を呈していた。これは両者の組織構成の違いに起因しているとともに、棘上筋腱内に剪断力を生じされる要因になると考えられた。 結論:引っ張り外力に対して関筋包側は脆弱性を有し、関筋包断裂では外傷の影響が強いことが示唆された。滑液包側および関筋包側中央腱部の力学的特性の違いは、腱内断裂発生の一要因になり得ると考えられた。
|
Research Products
(2 results)