1992 Fiscal Year Annual Research Report
骨格性不正咬合による発音機能障害の診断システムおよび機能改善治療法の開発
Project/Area Number |
02670918
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Research Institution | Hokkaidou University |
Principal Investigator |
山本 隆昭 北海道大学, 歯学部附属病院, 助手 (40230560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松野 功 北海道大学, 歯学部, 助手 (60199825)
土田 隆彦 北海道大学, 歯学部, 助手 (00197708)
石川 博之 北海道大学, 歯学部附属病院, 講師 (20184492)
今井 徹 北海道大学, 歯学部, 講師 (40160030)
中村 進治 北海道大学, 歯学部, 教授 (80001791)
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Keywords | 骨格性不正咬合 / 発音機能障害 / 構音器官 / 音響学的特徴 / 声道 / 舌運動 / 顎運動 |
Research Abstract |
前年度までに骨格性反対咬合者で発音障害が多く認められる無声摩擦音/s/、/s/について、音響学的特徴およびその成因について明らかにするととも、聴覚印象との関連性についても検討した。今年度は前年度まで行ってきた基礎実験に基づき、三次元顎運動計測装置および三次元舌運動計測装置の開発を行った。 (1)下顎位計測装置について 今回開発した下顎位計測装置の三次元的誤差の平均は、6×6×8(mm)の範囲では60μm、4×4×6(mm)の範囲では30μmであり顎運動計測装置として十分な精度であった。この装置を用いて、骨格性反対咬合者および健常者の/s/発音時の下顎運動について計測を行った。測定結果より健常者と比較して骨格性反対咬合者の安静空隙および最少発音空隙は有意に大きかった。これに対して、両空隙間の差は有意に小さかった。以上のことから、/s/発声時に健常者では下顎を大きく挙上してせばめを形成しているのに対して、骨格性反対咬合者では舌の補償によりせばめを形成しているため、下顎の挙上量が小さくなっていたものと推察された。 (2)舌運動計測装置について 現段階では、矢状面での舌運動しか計測できず、精度も二次的誤差の平均は24×28mmの範囲で約200μmであり舌運動計測装置として十分とはいえない。しかし現在、センサに用いているチップコイルの配置を変更することにより三次元的に測定できるように改良中であり、精度についても顎運動計測装置と同様の補正を行うことにより改善されるものと思われる。発音時の舌尖の動きは約20×20mmの範囲といわれているので、発音時の舌尖の運動を計測するためには十分な計測範囲を有している。 今後は一次コイルの傾きの影響についても検討を加え、また空間的歪みの補正を行うことにより、計測誤差を小さくするように改良を加えていく予定である。
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