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1991 Fiscal Year Annual Research Report

近現代における生命観・人間観についての歴史的・比較思想的研究

Research Project

Project/Area Number 02680089
Research InstitutionUniversity of Tsukuba

Principal Investigator

金森 修  筑波大学, 現代語・現代文化学系, 助教授 (90192541)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 杉山 滋郎  北海道, 理学部, 助教授 (30179171)
Keywords動物機械論 / コンデイヤック / 動物の搾取 / 哲学的人間学 / 比較心理学 / 明治以降の日本の生命観 / 日本人の死を巡る意識 / 明治・大正期の科学啓蒙主義
Research Abstract

金森修はコンデイヤックの『動物論』を分析することが主要な目標である。だがそれはたんにコンデイヤックという一人の十八世紀哲学者の議論の個人的な分析にとどまることではないということが明らかになった。デカルトの動物機械論は、例えば十七世紀後半の数多くの関連文献の存在によっても明からなように人間の動物に対する関わり方に大きな影響を与えた。動物機械論は人間に豊かな主体性を与える反面で、動物から魂をぬき去り、それを完全な搾取の対象とすることを正当化する議論であった。だがそれに対して、デカルトになんらかの留保を表明する人もいなかったわけではなく、動物の魂は本当に存在しないのか、また存在するとすると、それは人間同様不死の特性をもつのか、などという哲学的議論が盛んに交わされた。コンデイヤックの『動物論』はほぼ同時代人のビュフォンの動物論を反駁するためにかかされている。だがそれは動物とはなにかを巡る問題であるとともに、人間は動物とはどういう点で異なるのかという問題であるともいえ、その意味で、人間学にも必然的に展開していく問題構制であった。かくしてコンデイヤックもその一面をなすところの動物論は人間学、比較心理学など、その後十九世紀から二十世紀にかけて実を結ぶことになる多くの成果の一源泉であるといえるだろう。本研究は、コンデイヤックの『動物論』を主題とするという意味で基本的には限定的で歴史的な研究であるが、展望として、のちの哲学的人間学、比較心理学などの成果をも視座に組み込みながら、当該問題史に対するひとつの貢献となるよううにしたいと考えている。
杉山滋郎は明治以降の日本における生命観の変遷を、同時代の資料に基づきながら実証的に分析することを目標としている。平成2、3年度に収集した文献資料の読解・分析をすすめ、当初の研究目的に沿って考察を進めてきた。日本における生命観がいつごろ、どのように変化したのか、それを画定しようとすることが主要な研究目標である。また比較的あつい研究伝統をもつ「(日本人の)自然観」を手がかりに、生命観の概念規定を明確にすることにも努めた。本年度の調査により、生命観を論じるに当たっては死の観念についての分析も重要であろうという予想をえ、それに基づきながら平成4年度の調査・研究につなげていく予定である。

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Published: 1993-03-16   Modified: 2016-04-21  

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