1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02680246
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
永田 英治 宮城教育大学, 教育学部, 助教授 (20164428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板倉 聖宣 国立教育研究所科学教育センター, 研究室長 (00000042)
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Keywords | 理科教育史 / 理科教科書 / 教科書の機能 / 理科筆記代用書 / 理科筆記帳 / 理科学習帳 / 実験案内書 / 自習参考書 |
Research Abstract |
理科教科書が授業の〈導入/展開(課題)/まとめ・演習〉のいずれの場面で使用されるように作成されたのかを,その編集形式と教師用書などの指示とを時代毎に比較して次のようにまとめることができた。 (1)「学制」期自由採択下ー読み物形式,〈導入・展開〉,末期に課題をはさむものが登場。/(2)明治期検定制度下ー読み物・摘要文,〈展開〉/(3)児童用書使用禁止期ー筆記代用書・筆記帳,〈まとめ〉/(4)国定理科書期ー筆記代用形式,〈まとめ〉,筆記代用と筆記帳とを融合したものから課題を印刷して結果を記入させる「学習帳」が生まれる。/(5)国民学校期ー課題・作業の指示を中心に印刷,〈展開〉,「学習帳」の余白がないものに近い。/(6)第二次大戦後文部省著作教科書期ー読み物,〈導入〉(別に課題の結果を記入するワ-クブックを用意)/(7)第二次大戦後検定教科書期ー課題・まとめともに印刷,〈展開・まとめ〉そして,理科教科書の今日的な機能は「理科学習帳」にその原型が見られることになり,「理科学習帳」の系譜およびその授業における機能との関係を明らかにすることに研究の重点が置かれることになった。 調査した「理科筆記帳/理科筆記代用書/理科学習帳」は142点にわたり,その教師用書などの調査は36点にわたったが,その結果,つぎの仮説を立てて,今後の研究を進めることができるようになった。 つまり,〔(1)明治初期に読み物に課題を挿んだ教科書は明治期検定教科書の教師用書に受け継がれる。(2)児童用書の使用が禁止されるとその教師用書の「筆記摘要」を印刷した「筆記代用」が出る。(3)国定理科書は筆記代用を受け継ぐが,他方で筆記学習を重視した著者たちは「筆記帳」に自習課題を加え「学習帳」を作成。/(4)その学習帳が参考書に生かされ学習課題中心の印刷物の形式が練られた〕とするものである。
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