1992 Fiscal Year Annual Research Report
ジエン・ジエノフィル複分解:新しいメチレン転位反応
Project/Area Number |
02804040
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
任田 康夫 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (10127342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有賀 正裕 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (90030395)
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Keywords | ジェン・ジェノフィル複分解 / ニトロアルケン / 逆電子要請Diels-Alder反応 / 六員環環状ニトロン酸エステル / 逆Diels-Alder分解 |
Research Abstract |
1.1-ベンゼンスルホニル-〓-〓トロプロペン(l)をジエンとし、エチルビニルエーテルをジェノフィルとする「ジエン-ジエノフィル複分解」を検討した。長時間(一週間)反応させることにより、室温という温和な条件下で、付加-異性化-逆ディールスアルダー分解の本反応の全ての素反応がワンポットで進行し、最終生成物のマ-ベンゼンスルホニル-3-ヒドロキシイミノ-1-ブテンが油状生成物として得られた。この化合物は2,4-ジニトロフエニルヒドラジン処理して単離確認した。これまでのニトロアルケンをジエンとした本反応では、環化付加体の5,6-ジヒドロ-4H-1,2-オキサジン 1-オキシドを一度単離し、それを強塩基で処理することにより、逆ディールス-アルダー分解を起こさせていた。それに比べ、lをジエンとした反応では強塩基による処理が必要でないことが判明したことな非常に意義が深い。ニトロアルケンのB一位にスルホニル基やカルボキシル基の様な電子吸引性置換基を有する化合物が、本反応のジエンとして有効であることを示す結果である。 2.α,P-ジントロケイヒ酸メチルとエチルビニルスルフィドの1:1環化付加体(2)を炭酸カリウムで処理すると期待した複分解生成物は全く得られず、2が異性化した6エチルチオ-6-ヒドロキシル-3-メトキシカルボニル-4-(4-ニトロフエニル)-5,6-ジヒドロ-4H-1,2-オキサジンが得られた。これは2の6位水素が6位置換基のエチルチオ基により活性化され、プロトンとして引き抜かれたことによる反応生成物であると理解できる。この事実より、本「ジエン-ジエノフィル複分解」が選択的に起こるためには、環化付加体2の4位水素の酸性を高め、6位水素の酸性をおさえることが必要であることがわかった。
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Research Products
(1 results)