1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02805023
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
辻野 智二 熊本大学, 教育学部, 助教授 (80006197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島 章 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (30006168)
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Keywords | 振動障害 / レイノ-現象 / 気泡 / 血液 / 脈動血流 / バイオメカニクス |
Research Abstract |
振動障害は、振動工具・機械(チェンソ-、ピックハンマ、さく岩機等)から人体(主として手)に振動が伝達された場合に、末梢循環障害を引き起こす職業性疾患である。また、最近では、オ-トバイレ-サの手腕系症候群等、新たな振動障害の症例も報告されいる。この疾患の発症機構の解明は、障害防止、並びにその根治的治療法を見い出す上においても極めて重要であるが、未だ関連する知見は不十分であり、特に、生体工学的観点からの研究が必要とされている。これまで、本研究らは、振動を受ける血液中で発生した気泡が血管を閉塞するという理論的予測を提示してきたが、本研究では、その気泡塞栓説の確証を得るため、血液中の気泡発生に関する流体力学的条件を実験的に明らかにする。実験逐行のため、まず減圧・加振型気泡発生装置を試作した。本試験装置は、減圧度=0〜650mmHg、加振振動数f=0〜40Hz、振幅A=4mmの実験条件を有するものである。試験液体は、成犬より脱血した新鮮へパリン加血の他に、比較のために、生理食塩水、水道水、油を用いた。液中で発生した気泡の観測は、レザ-による気泡検出法、および高速ストロボを用いた瞬間写真、目視、により行っている。試験容器は容量が50ccの三角フラスコであり、その中には、気泡発生のexciterとして金属片が挿入されている。血液中における気泡発生時の減圧度と加振振動数との関係、キャビティの様相を明らかにし、他の供試液体との比較検討を行った。その結果、次のことが明らかにされた、(1)脈動を受けた血液は、他の供試液体に比べて、気泡が生成しやすく、より発泡性の高い液体である。(2)加振振動数の増加は、気泡の形成を促進させる。(3)加振振動数f>7Hzの血液中では、わずかな減圧で気泡が生成する。(4)大気圧条件下においては、加振振動数f>28Hzで、血液中に気泡が発生する。その気泡直径は約0.2mmである。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 辻野 智二: "脈動圧力を受ける血液中の酸素気泡の拡散溶解に関する研究" 日本機械学会第3回バイオエンジニアリング部門学術講演会講演論文集. No.910ー44. 107-109 (1991)
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[Publications] 辻野 智二: "血液中の気泡運動時に発生する衝撃的圧力" 日本機械学会九州支部熊本地方講演会講演論文集. No.918ー3. 82-84 (1991)
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[Publications] 辻野 智二: "血液中における気泡の非線形振動に及ぼすヘマトクリットの影響" 日本機械学会論文集. B58ー546. 321-326 (1992)
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[Publications] 辻野 智二: "脈動・減圧環境下における液中の気泡発生" 日本学術会議キャビテ-ションに関するシンポジウム(第7回)プロシ-ディングス. (1992)