1990 Fiscal Year Annual Research Report
左冠状動脈前下行枝のアテロ-ム硬化発生に及ぼす心筋架橋の意義
Project/Area Number |
02807037
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
石井 壽晴 東京医科大学, 医学部, 助教授 (30101893)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足羽 紀子 東京医科大学, 医学部, 助手 (00074641)
増田 茂 東京医科大学, 医学部, 講師 (00074667)
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Keywords | 冠状動脈 / 心筋架橋 / 粥状硬化症 / 内皮細胞 / 平滑筋細胞 / 膠原線維 / ずり応力 |
Research Abstract |
方法:心筋架橋を有する16例(MB群)、もたない14例(nonーMB群)の左冠状動脈前下行枝を蒐集して、型通りに、固定・脱水・包埋し、透過型並びに走査型電顕観察を行った。観察結果: nonーMB群では、内膜は、冠状動脈入口から心尖部に至る内膜に広範に高度の内膜肥厚が認められた。内膜肥厚は、種々の程度の平滑筋細胞増殖・泡沫細胞動員、間質中への、時に石灰沈着を伴う多量の脂質沈着膠原線維増生や基質の増加から成っており、殆どの平滑筋細胞には、細胞内小器官の増加傾向がみられ、modified型を呈していた。一方、MB群の心筋架橋の近位側内膜には、nonーMB群と同様な所見が認められたが、心筋架橋部の内膜は、著明な内膜肥厚の抑制がみられた。即ち、内膜には、脂質沈着及び泡沫細胞の出現は全く認められなかったのみではなく、間質中の膠原線維形成・基質沈着も抑制されていた。最も特徴的なのは、観察し得た殆どすべての平滑筋細胞の胞体内には、豊富な筋原線維がみられるのみで、modified型を呈する細胞は認められなかったことである。更に、間質中に認められる膠原線維中には、線維の太さが拡大し、且つ、螺施状に捻れを示した、いわゆる、"spiralled collagen(Ghadially)"の存在が目についた。心筋架橋の遠位側の内膜では、前記した様々な動脈硬化性の変化が再びみられるようになった。走査電顕では、心筋架橋近位側では、内皮細胞は、多角形・扁平で、不規則な敷石状に配列しており、微絨毛も目立つ。又、心筋架橋部では内皮細胞は紡錘形を呈し、血流長軸方向に沿って規則的に配列していた。架橋の遠位側では近位側と同様な状態に復する。考察: 内皮細胞の走査電顕から、心筋架橋部は近位・遠位側内膜に比して、ずり応力が明かに近いことを示している。心筋架橋部で、脂質の浸入や泡沫細胞出現などの粥状硬化性変化がみられないことは、ずり応力を介した脂質沈着の抑制によるものと結論出来る。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ishii,T.,Asuwa,N.,Masuda,S.,Ishikawa,Y.,Shimada,K.: "Atherosclerosis suppression in the LAD by the presence of myocardial bridge.An ultrastracturd study." Modern Pathology.
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[Publications] Ishii,T.,Makom,GT,.Osaka,T.,Masuda,S.,Asuwa,N.: "Variations with age and serum choleoterol level in the topographic distnbution of macroscopic aortic atherosclerotic lesions as assessed by image analysis methods." Modern Pathology. 3. 713-719 (1990)