Research Abstract |
平成3年度は、心筋架橋に覆われた部位の左冠状動脈前下行枝の動脈壁及びその近位側,遠位側の動脈壁の透過型並びに走査型電顕観察を継続すると共に,前年度に見出したspiralled collagenの免疫電顕観察方法の安定化を行い,更にはウサギを用いた実験的検証に着手した。 心筋架橋部の内膜に,多量出現するspiralled collagenにつき,LR Whiteによる包理を行い,抗ヒトコラゲンI,III,IV抗体を用いた全染色を施し,現在,観察中である。 又,ウサギは,左冠状動脈主幹部から,直ちに,心筋中に,必ず陥入するという冠状動脈の走行上の特性を有している。このために,ヒトの心筋架橋を考察する際に好調のモデルとして考えることができる。ウサギにコレステロ-ル食を負荷し,主幹動脈部と心筋陥入部の冠状動脈内膜胞厚を対比検討中であるが,これまでに,脂質誘入と細胞増袋は,主幹部のみにみられ,陥入部ではみられず,抗ウサギアボβ抗体,PCNA抗体を用いた検討によっても,このことを裏付けることができた。又、電顕観察によっても,これを証明しつつある。走査型電顕観察によって主幹部の内皮細胞の形態は,扁平化した形状を呈し,配列も不規則であるが,陥入部内腰を覆う内皮細胞は,ヒト心筋架橋部におけるのと同様に,紡鎮型を呈し,規則的に血行にそって,配列していた。一般的に,ウサギにコレステロ-ル食を投与しても,冠状動脈硬化は生じにくいことが強調されているが,内皮細胞の走査型電顕観察の結果が示す様に,ヒト心筋架橋にみられる如くの,血流を介した抑制効果があるためと思われる。ウサギ実験に関しては,病理学会に発表予定である。
|