1990 Fiscal Year Annual Research Report
唾液ペプチド・ヒスタチンによる好中球の活性酸素産生の調節作用に関する研究
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02807169
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
杉山 勝三 岡山大学, 歯学部, 助教授 (30032890)
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Keywords | ヒト唾液 / ヒスタチン / 好中球 / 活性酸素 / 肥満細胞 / ヒスタミン遊離 |
Research Abstract |
1.唾液ヒスタチンの精製法の改良 従来のヒト唾液からのヒスタチンの分離精製法は収率が悪いので、へパリンへのアフィニティクロマトと高速液クロを組合せる方法を開発して短時間に高収率に精製ができた。その知見については、Archs.oral Biol 35 (1990)415に発表した。 2.ヒスタチンの好中球機能に及ぼす影響 モルモットの腹腔及びヒト末梢血から分離した好中球は培養プレ-ト内で、種々の刺激剤(LPS,FMLP,TPM)によってO_2^-やH_2O_2を産生した。この場合、長時間(2時間)インキュベ-トすると、刺激した場合と同程度の活性酸素の産生が無刺激の場合にも見られた。この無刺激のH_2O_2の産生は微量のヒスタチン(5μM以下)によって著明に抑制された。この抑制効果は可逆的であった。 3.ヒスタチンの活性部位の決定 ヒスタチンのヒスタミン遊離活性や、好中球の活性酸素産生の阻害に必要なアミノ酸配列を決定するため、i)ヒスタチンを種々のプロテア-ゼで処理して断片化したペプチドの構造と活性相関、ii)これらを合成ペプチドと比較検討した。その結果、ヒスタチン1をV8プロテア-ゼ処理して得たペプチドE12(KRHHGYKRKFHE)に最も強いヒスタミン遊離活性が認められた。これは合成ペプチドM9(KRHHGYKRK)とも同等の活性であった。E12とM9はヒスタチン1の11位がヒスタチン3と5の11位のLysがArgに置換している以外は共通の領域であった。現在これらE12とM9を用いて好中球の活性酸素産生に対する影響を検討している。
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[Publications] Yamanaka,Hiroyashu: "Cytolytic action of Vibrio vulnificus haemolysin on mast cells from rat peritoneal cavity" J.Med.Microbiol.32. 39-43 (1990)
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[Publications] Sugiyama,Katsumi: "Rapid purification and characterization of histatins (histidinerich polypeptides) from human whole saliva" Archs.oral Biol.35. 415-419 (1990)
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[Publications] 杉山 勝三: "ヒト唾液中のヒスタチン(高ヒスチジン含有ペプチド)について" 歯科ジャ-ナル. 31. 466-476 (1990)