1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02807206
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Research Institution | Science University of Tokyo |
Principal Investigator |
上野 芳夫 東京理科大学, 薬学部, 教授 (00084418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 理 東京理科大学, 薬学部, 助手 (30204770)
根本 清光 東京理科大学, 薬学部, 助手 (90189366)
杉浦 義紹 東京理科大学, 薬学部, 助手 (10196719)
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Keywords | フザリウム真菌 / DNA相同性 / 遺伝子多型 / 化学分類 |
Research Abstract |
本年度は前年度の実験結果をもとに非アイソト-プ試薬を用いた全ゲノムDNAの相同性試験および特定のフザリウム菌より抽出したDNAを制限酵素で切断し、クロ-ニングして得たDNA断片を用いて他の菌種の全ゲノムDNAを制限酵素で切断したものとサザンブロットを行い、得られた遺伝子多型パタ-ンによるフザリウム属の同定、分類を試みた。非アイソト-プ法による相同性試験は江崎らによってレジオネラ細菌に応用された方法を基にし、一部変更して行った。対照菌として既知の菌2種、未同定菌1種を用いた。結果は供試したすべての菌株で相同値が50%以上で、平均で50〜119%であった。また異種間の相同値が同種間よりも高い値を示すものがあり、方法上の問題点が示唆された。次にフザリウム属の未同定菌より得たDNAを制限酵素で切断後、クロ-ニングして1.1および1.7kbの2つのDNA断片を得た。この断片を ^<32>Pでラベルし、他種のDNAを制限酵素で処理後、サザンブロット解析をした。その結果、2つのDNA断片のうち、1.1kbを用いた方法では各種ごとに同種内でパタ-ンの一致あるいは高い相似性が認められ、異種間との区別が容易に行えるので、種の同定に適していることが示唆された。特にTー2トキシン生産菌で形態的に似ている2種のパタ-ンが異なっていたので、両者の区別に有効であると考えられた。また制限酵素としてHindIIIを用いた結果では、供試したすべてのフザリウム菌に共通なバンドが1本認められた。しかしながら、1.7kbのDNA断片は由来の菌以外に相補性を示すバンドが認められず固有のDNA断片と考えられた。次に1.1kb断片の塩基配列を調べたが、これまで報告のある塩基配列と一致するものはなく、今後の研究が必要である。以上のことから、今回行った分子生物学的手法によるフザリウム菌の化学分類として、遺伝子多型パタ-ンによる方法が本菌の同定、分類に有効であると考えられる。
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